金持ち中国人が抱く「日本の観光業」への本音 インバウンドを牽引した彼らは何を思うのか
2つ目の理由は最近のチャイナブームだ。日本にいると見方が違うかもしれないが、中国はコロナ感染状況を抑え込んだ国の1つでもある。
その結果、若い人たちには愛国心の高まりも見られつつある。また、国内のサービス業、ブランドは年々レベルアップしており、若者の中では「中国のよさを再発見しよう」という共通認識が形成されている。特にコロナ禍の観光では、今まであまり注目されなかった地方においても、センスがよいホテルも登場し、新しい人気スポットになっている。
富裕層の日本に対する関心
中国国内の観光業はコロナ禍の中で、健康QRコードやチャイナブームといった相乗効果により、回復傾向にある。日本の観光業にとっては今まで相手にならなかったかもしれないが、今後「小旅行」「高級リゾート週末」などのジャンルにおいて、中国の観光業がライバルになる可能性がある。
ただその一方で、日本の観光業にとって希望が持てるデータも存在する。中国の旅行サイトCtripの調査では中国人が海外旅行解禁された後にいちばん行きたい国は日本だった。また、コロナが収束すれば、中国人の海外旅行は2022年にはコロナ前の2019年に戻るとの予測もある(中国出境游研究所)。
さらに今年の春節の中国で大ヒットになった映画『僕はチャイナタウンの名探偵3』(中国公開2021年2月12日、日本公開は延期)のロケ地は日本である。長澤まさみ、妻夫木聡など人気の俳優たちも参加し、中国版ツィッターのweiboで「はやく日本に行きたい」とのつぶやきもある。
前出のLulu氏の話を聞いても「周りの富裕層、ブロガーの友達は、今いちばん行きたいのはやはり日本だ」という。理由を聞くと、「中国国内の観光はハードの部分が急成長しているが、ソフトの部分はやはり日本にかなわない」ためだ。
「日本は近いし、食事もおいしいし、サービスが素晴らしい。細かいところまでデザイン性が高く、包装のレベルの高さにいつもドキドキする。ヨーロッパほどブランド品は安くはないが、本物だし、日本の化粧品のほうが中国人に合う」と話す。
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