子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される

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ところが昨今は子どもの運動不足が指摘されています。デジタル機器の普及により、日本では3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用していると言います。スマートフォンやタブレットで動画コンテンツを見たり、ゲームをしたりしている時間は、まったく身体を動かしません。

本来、身体を使って遊ぶことが大切な時期に、身体を動かさないことが習慣化すると、深刻な運動不足になっていく危険があり、実際に子どものロコモティブシンドロームも多くみられます。これは単純に身体、運動の発達の問題だけでなく、脳の発達の問題でもあります。前述のように、運動と脳の発達には深い関係があるからです。

「ただ走る」より、追いかける・逃げるといった目的を取り入れると楽しく取り組める(写真:IWAアカデミー)

子どもがキャーキャー言いながら追いかけっこをしたり、サッカーやドッジボールで夢中になって遊んだりして、楽しく、気持ちよく身体を動かすことは、脳全体のネットワークが高い次元でつながることを促し、それは複雑なことを考える力へとつながっていきます。

夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます。

興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く

興奮させてばかりいると、コントロールの効かない、落ち着きのない子になるのでは?と心配する方もいるかもしれません。これはまったくの逆で、正当な興奮を味わった脳のほうが、むしろコントロールが効くようになります。なぜなら「興奮」を経験することは、同時に「興奮を抑える」という経験を増やすことにもなるからです。

例えるなら、興奮を味わったことがない脳は、徐行運転の経験しかない車のようなもの。それではブレーキの使い方を練習できません。スピードを出すからこそ、ブレーキの使い方がわかるのです。興奮を味わってそれを抑えるというのは、これと同じことです。

ただし、気をつけなければいけないのは興奮の質です。スマートフォンやゲームを使って騒いでいる子どももいますが、そうした興奮は本物の興奮ではありません。スポーツのようにさまざまな感覚、身体のあらゆる場所への刺激を伴う興奮こそが本物の興奮で、子どもの脳の発達を促します。人は身体を動かすことによって、脳の発達が進んでいくのです。

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