ジム・ロジャーズ「20年先はドルより人民元だ」 日本人は今こそ資産を海外に分散させるべき
私たちは引き続き米中対立を見守る必要があります。当然のことながら、資産運用をする際にもそれを考慮に入れて投資対象を選ぶ必要がありそうです。
万一の際に備えて資産は安全通貨へ
「もし戦争が起こったら、資産は安全通貨に入れておくべきだ。戦争時は政府が金融資産などを封鎖する傾向がある。その場合は他通貨に交換したり、海外に送金するのが不可能になる。そうしたことをする可能性がある国の通貨で資産を預けてはいけない」。
もちろん現在はグローバル経済時代なので昔と比べれば、特に先進国では預金封鎖のリスクはかなり低いとは言えます。そんなことをすれば、外国からの投資が呼び込めなくなるからです。
しかし、国や通貨を間違えると、資金を外に出せなくなったり、最悪の場合は手持ちのお金が全部消えるリスクもあるとロジャーズ氏は言います。途上国では国によっては米ドル預金に対して高い金利をつけている国もありますが、それはカントリーリスクと言えそうで、うっかり手を出してはいけません。
「預金封鎖をした国が勝てば資産価格は戻るかもしれない。だが、勝者の国に投資していなければ意味がない。中立的な国、あるいは戦争に関係のない国に資産を置いておくべきだ」
スイスなどはプライベートバンクとして数百年の歴史があり、戦争が多かった欧州で富裕層の資産を守ってきた経緯があります。香港が中国の影響を受けているため、今はシンガポールなどもアジアのスイスのような地位を獲得しつつあります。
「ただし、もし戦争が起こらなかったとしても、日本でも銀行口座の封鎖リスクは十分存在する。国の債務が爆発的に増え、人口減少に歯止めがかからないなか、日本にさまざまな危機が想定されるからだ。日本政府は国を支配したがり、国民は政府に従う傾向があるからだ」
世界を知ると、国際的に開かれたシンガポールやスイスなどと比べると、海外送金等をしづらくしている国も多くあります。日本も決して海外送金がしやすい国ではありません。日本人でも本当の富裕層は、万一に備え、円の銀行預金だけではなく、米ドル、金、海外も含めた不動産などを保有するなどの分散投資をしている人が少なくありません。
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