スバルの回復ムードに水を差す「半導体不足」 わずか3カ月後に業績修正を余儀なくされた

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昨年夏以降はディーラー在庫の積み増しに生産もフル稼働に戻していたスバル。写真は群馬製作所(記者撮影)

業績予想上方修正からわずか3カ月後に下方修正――。2月5日、スバルは第3四半期決算(2020年4~12月)を発表するとともに、合計5万8000台の減産を公表し、2021年3月期の業績予想を引き下げた。年間の販売台数の見通しは従来の91万600台から86万7900台に見直した。

スバルはアメリカなどでの販売回復を追い風に2020年11月に発表した中間決算で第1四半期決算のときに発表した業績予想を上方修正したばかり。それがわずか3カ月で業績予想の見直しを迫られた。背景にあるのが車載用の半導体不足と輸送用コンテナ不足だ。

需要回復の中で生じた供給の制約

半導体不足の要因は、自動車市場の急回復にある。コロナ第1波の渦中だった昨年の夏前まで、業界では2020年の世界の新車販売は2割程度落ち込むと予想されていた。だが、予想に反して新車需要は夏以降に急回復し、各社とも積極的な増産へと舵を切った。国際自動車工業連合会(OICA)によると、主要国での2020年の自動車販売は前年比12%減にとどまった。

ただ、半導体は生産に時間がかかる。一般的に受注から半年程度の納期が必要だといわれる。各自動車メーカーの増産に車載半導体の供給が追いつかなくなり、世界的に需給が逼迫したのだ。この影響でスバルは第4四半期(2021年1~3月)に4万8000台の減産を行う見通し。

もう1つのネックは、物流重要の増加で海上輸送に使われるコンテナが不足したこと。2020年末にかけてアメリカで部品輸送が滞ったことで、1万台分の減産を強いられた。これと半導体不足による減産の合計が5万8000台ということになる。

もちろん、半導体不足で困っているのはスバルだけではない。ホンダはグループ全体の2020年の販売見通しを10万台引き下げ450万台とし、日産はコロナウイルス感染再拡大の影響と半導体不足で合わせて15万台引き下げ、販売見通しを401万5000台としている。

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