利益率34%「医療界のヤフー」が変えた薬の常識 時価総額で国内20位のエムスリーとは何者か

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医療関連記事や学会・求人情報の配信、白衣など医療関係の物品購入、医師向けの掲示板まであらゆるジャンルのサービスが用意されており、「医療界のヤフー」とも評される。

m3.comで提供されるサービスの稼ぎ頭が祖業の「MR君」。MR君とは、MR(医薬情報提供者)が病院に直接訪問して提供していた医薬品情報を、m3.comの会員である医師にネット上で届けられるサービスだ。エムスリーは製薬企業から利用料を得て、医師は無料でこれらの情報を見ることができる仕組みだ。

2020年1月時点でMR君の利用企業数は約70社、2020年3月期の年間売上高は約300億円と推定される。「MR君を知らない製薬企業の社員はいない」といわれるほど、業界での存在感は大きい。

「MR君」が支持される2つの理由

製薬企業がMR君に群がる理由は2つある。まず、情報提供にかかるコストを数十分の1に抑えられることだ。

従来のMRは、忙しい医師の空き時間に情報提供を行うことがほとんどだった。医師の診察や会議の間など、膨大な待ち時間が生じるにもかかわらず、数分しか面談できないこともある。MR君を利用した場合、製薬企業は医師側からの問い合わせなどにリソースを集中できる。

また、医師のニーズを精緻に把握することができる。製薬企業はMRが医師と面談した際の反応などから、感覚的に医師が求めている情報を判断することもあった。

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