利益率34%「医療界のヤフー」が変えた薬の常識 時価総額で国内20位のエムスリーとは何者か

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エムスリーはm3.comのアクセス情報やメッセージ開封の有無、アンケートの回答などから、その医師にとってどのような情報が価値を持つのかなどのデータを分析している。製薬企業は、細かく分析されたデータに基づき、より効率的なマーケティングが可能になる。

以前から製薬業界では、営業をデジタル化しようとする試みは行われていた。しかし、それぞれの製薬企業が自社サイトで大量の医師会員を集めるのは容易ではない。m3.comの巨大な会員基盤を活用できることが、MR君の利用が拡大した要因となっている。

今年には新型コロナの拡大という追い風で成長が加速した。医療機関からMRに対し訪問自粛が要請され、医師に対面で情報提供できる機会が激減。代替手段としてMR君の需要が急増し、MR君を中心とした製薬マーケティング支援事業の受注金額は、2020年12月に前年比2.5倍以上に拡大した。エムスリーも営業チームを倍近くに増員し、攻勢をかけている。

営業デジタル化の市場は拡大

長期的な成長余地は大きい。製薬企業がマーケティングにかける費用は年間に総額2兆円弱とみられ、9割がMR関連費用、MR君の利用といったデジタル関連費用は400億円程度とされる。

エムスリーは将来的に、営業のデジタル化によって全体の費用が1兆円まで縮小するとみる。そのうちデジタル関連サービスにかかる費用は2~3割を占めると見込む。これがエムスリーの狙う市場だ。

エムスリーはこの市場で8~9割のシェアを確保できると見込んでおり、単純計算でエムスリーの製薬マーケティング支援事業は1600億円以上もの事業に成長する見通しだ。

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