利益率34%「医療界のヤフー」が変えた薬の常識 時価総額で国内20位のエムスリーとは何者か

拡大
縮小
製薬企業に「知らない社員はいない」とされる企業が急成長している(写真:DPA/共同通信イメージズ)

知る人ぞ知る「医療系IT企業の巨人」が躍進している。

エムスリーが1月29日に発表した2020年4~12月期の業績は、売上高1237億円(前年同期比28.5%増)、営業利益424億円(同57.7%増)となった。通期業績予想は変動要素が多いため未定としているが、営業利益は、すでに2020年3月期通期の343億円を超えた。

好調な業績を牽引するのは、製薬企業のマーケティングを支援するサービス「MR君」を中心とするメディカルプラットフォーム部門。同部門の売上高が556億円(前年同期比50.4%増)、セグメント利益は275億円(同94.6%増)と急増したのだ。

医師の9割超が登録するサイトを運営

エムスリーの時価総額は足元で6兆円に迫っており、1年間で3倍となる快進撃だ。製薬業界各社と比較しても、あの武田薬品工業を上回っている。

エムスリーは、大手コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーで共同経営者に就いていた谷村格氏が、クライアントだったソニー子会社の出資を得て2000年に設立した。現在もソニーが筆頭株主として約34%の株式を保有している。

2020年4~12月期で利益率34%を誇る収益モデルの肝は、医療情報サイト「m3.com」の運営だ。m3.comは医療従事者だけが登録できるポータルサイトで、日本の医師の9割超にあたる約29万人が無料会員登録している。

次ページ登録無料でも稼げる納得の理由
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT