利益率34%「医療界のヤフー」が変えた薬の常識 時価総額で国内20位のエムスリーとは何者か

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国内向けのm3.comだけでなく、M&Aなどを通じて取り込んだ海外の医療情報サイトも含めると、エムスリーの会員基盤は世界の医師の約半数にまで及ぶ。日本で生み出したサービスを海外でも展開するほか、国ごとに独自のサービスも開発している。

エムスリーの成長性を測るうえで焦点となるのは、医師の会員網を活用したビジネスをどれだけ増やせるかだ。

そのために、業界を超えて協業も進める。2019年1月にはSNSサービスのLINEと共同出資し、一般向けサービス「LINEヘルスケア」を立ち上げた。

一般消費者を巻き込めるか

まず2019年末、LINEで医師に相談する健康相談サービスの提供を開始。2020年末からは、ビデオ通話で医師の診察を受けるサービスも開始した。

エムスリーはLINEのユーザーを生かし、製薬の枠を超えたプラットフォーム企業を目指す(撮影:尾形文繁)

m3.comが持つ医師の会員基盤と、一般消費者で月間8000万人のアクティブユーザーを抱えるLINEを組み合わせることで、オンライン診療分野でも圧倒的なプラットフォームを作り上げようとしている。

巨大なプラットフォームを武器にビジネスを拡大してきたエムスリー。今後も製薬業界の枠を超えた、一般消費者を巻き込んだサービスの積み上げが不可欠となりそうだ。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。報道部、『会社四季報』編集部を経て、現在は会社四季報オンライン編集部。食品業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、ドローン、医療機器など。趣味は東洋武術。

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