市況底打ちは本物か?東京オフィスの明と暗 「縦のライン」と「横のライン」で優勝劣敗がクッキリ

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実際、オフィス仲介会社のビルディング企画の調査でも、そうした傾向が見て取れる。下図は皇居周辺のエリアごとの賃料推移をまとめたものだ。需給の状況をより如実に反映する中型物件(フロア面積100~300坪)で見ると、2012年ごろから大手町・丸の内・有楽町エリアの賃料は上昇基調にあるのに対し、飯田橋や市ケ谷、麹町近辺では賃料が下がっていることがわかる。

活況を呈しているのは、冒頭のような新築物件ばかりではない。「空きが出てからでいいので、入居したい」。JR秋葉原駅前に建つオフィスビル「UDX」は2006年の竣工にもかかわらず、入居希望者が引きも切らない。目下、順番待ちの状況だ。1フロア1450坪という広さや耐震性能などが評価されている。

多くの企業で、分散していた複数の拠点を1つのビルに集約すると同時に、事務所を増床・拡張するニーズが高まっている。ただ、今後のオフィスビルの供給量は緩やかに増える程度。そのため、「縦のライン」に位置する大型物件は「入居希望の企業間で取り合いの状況」(CBREの高橋宏和フレッド・エグゼクティブディレクター)という。

「横のライン」の中小ビルは苦戦

対照的なのは、「横のライン」に位置する中小型ビルだ。企業の拠点集約・移転のあおりを受け、空室を抱えている物件が少なくない。

たとえば、法人向けを主体にネット接続事業を展開するインターネットイニシアティブ(IIJ)は、業容拡大に伴う事務所の拡張や拠点集約を目的に、この6月に竣工した「飯田橋グラン・ブルーム」への移転を決めた。グラン・ブルームが大口契約で潤う一方、IIJがそれまで入居していた神保町のビルは新しい借り手が現時点では決まっていないもよう。このビルを運営する三井不動産は、「引き合いが多く、新しい入居企業のメドは立っている」と説明する。人気のある物件は切れ目なく次の入居企業が決まることが多いが、そうなっていないようだ。

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