夢も目標もない若者を変えた「ある趣味」の正体

「レールから外れる人生」を恐れなくなった理由

各地を巡る中で、丹治さんの意識も以前とは変わってきた。

「今までずっと小中高、一浪して大学、大学院、就職と、ある種レールの上をまっすぐ進む人生だったから、そこから外れることへの恐怖感はありました。でもこの活動を続けて、出会う人たちが今までとは変わって、いろんな人生があると改めて思うようになりました」

熱量を持って展示物や博物館の内容を説明してくれる館長やスタッフたちとの出会いは、視野を大きく広げてくれた。

「この年ならこれくらい収入があるべき」「そろそろ結婚しているべき」そういう世の中の風潮や目が、あまり気にならなくなってきたという。

「知ることの楽しさを伝えたい」(撮影:著者)

「自分がこれでいいって思ったら、それでいいじゃん! と思えてきました。『伝えていきたい』生きがいを見つけたから、最悪どうなっても大丈夫だって」

香川県の天体望遠鏡博物館への訪問もその思いを強めた。

「太陽にも寿命があって、最終的に地球を飲み込んで消滅すると言われています。いろんな人がいろんなことをやって、歴史に記録を残して、でも最終的にすべてなくなる。そう考えるとかえって気が楽で、なんでもありだなって」

知ることの楽しさを伝えたい

この活動をするうえで、大切にしていることを聞いてみた。

「知識それ自体よりも、知ることの楽しさや面白さを伝えたいです。あとは、記事が実際に現地に行ってみるきっかけになればうれしいですね」

丹治さんのブログも言葉も、ブログのキャッチコピー「世の中は思った以上に面白い」のメッセージそのままが根底にあるのが伝わってくる。知らない世界を覗いていく高揚感や臨場感が、読者にも伝播するのがブログの何よりの魅力だ。

とはいえ、ブログはあくまでも伝えるためのひとつの手段であり、発信は動画、ラジオ、本、会話、なんでもいいそうだ。

「理想は小さなスナックを作って、こういうのが好きな人たちが話をする場を作ること。それをやりながら休みの日はあちこち回って、そんなふうにやっていければ理想の生活ですよね。没頭できるものを見つけられたのは、本当によかった。これをやっていなかったら何やっていたんだろうって思います」

全国の博物館を巡った本は、今年の夏に出版予定。「世の中は思った以上に面白い」を教えてくれるガイドブックとして楽しみにしている。

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