簡単に継続できる「貧乏ゆすり」が体にいい理由 毎日ジム通いでマシンに挑んでも長く続かない

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大腿四頭筋を鍛えるには、相撲の四股やスクワットが適しています。加齢によって関節の可動域も狭くなるので、ストレッチで曲げ伸ばしするといいでしょう。さびかけた機械に潤滑油を注すような効果があります。 大切なのは、きつく感じない程度に留めることです。

運動の必要を痛感して取りかかる人ほど、きついノルマを課しすぎます。毎日ジムに通い、汗だくになりながら何種類ものマシンに挑んでも、長くは続かないものです。

軽すぎては意味がないと思いがちですが、もっと意味がないのはやめてしまうこと。テレビを見ながらできる毎日5分の体操でも、やるとやらないとでは大違いです。達成感より継続を追求すべきなのです。 周りに人がいない環境ならお勧めしたいのが、貧乏ゆすりです。

つま先を支点にした小刻みなひざの上げ下げが、太ももの運動になります。逆にかかとを支点にして、つま先を上げ下げするのもいいです。これなら、テレビを見ながらでもできます。

WHOが発表したおすすめの運動法

散歩を日課にするのもお勧めですが、ちんたら歩くだけでは筋肉への刺激になりません。同じ時間を使うなら、やや速足でじわっと汗をかくくらいの負荷を身体全体にかけ、効果を高めるべきです。

WHOが2010年に発表した「健康のための身体活動に関する国際勧告」は、65歳以上の成人を対象に、次のような運動を勧めています。

1.週あたり150分の中強度有酸素運動、または、週あたり75分の高強度有酸素運動、または、同等の中~高強度の運動を組み合わせた身体活動を行う。

2.有酸素運動は1回につき、少なくとも10分以上続ける。

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3.さらなる健康効果のため、中強度有酸素運動を週300分に増やす。または週150分の身体活動を、高強度の有酸素運動にする。または、同等の中~高強度の身体活動を組み合わせて行う。

4.この年齢群に属する高齢者で運動制限を伴う場合には、バランス能力を向上させ転倒を防ぐための身体活動を週3日以上行う。

5.筋力トレーニングは週2回以上、大筋群を使うトレーニングをする。

6.健康状態によって、高齢者がこれらの推奨する身体活動を実施できない場合は、身体能力や健康状態の許す範囲で可能な限り活動的でいること。

生活の中で、なるべく動く習慣をつけることも必要です。駅のエスカレーターを使わずに階段を上り下りするだけでも、筋肉や関節の萎縮防止になります。

新井 平伊 順天堂大学医学部名誉教授

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あらい へいい / Heii Arai

1984年順天堂大学大学院医学研究科修了。2019年よりアルツクリニック東京院長。アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門。

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