一方、芸能人たちの発言を引き出している制作サイドとしても、「これまで軽症というフレーズを当然のように使ってきたが、結果的にミスリードになっているのではないか」という自覚があるようです。それだけに「軽症という言葉を使うだけではなく、『軽症でもつらい、怖い』ことも伝えよう」としているのでしょう。
芸能人と制作サイドの両者にこのような思いが芽生えたのは、「軽症扱いで自宅療養中の死者が増えている」ことが大きいのではないでしょうか。いずれにしても、両者の意識が変わってきていることは間違いありません。
コロナ最前線の医師も“軽症”に警鐘
芸能人ではありませんが、1月27日の「とくダネ!」(フジテレビ系)に出演した埼玉県のふじみの救急病院・鹿野晃院長が興味深いコメントを発信していました。鹿野院長と言えば、早い段階からPCR検査の大切さをメディアで訴えつつ、積極的に検査や患者受け入れを行ってきた人物。感染予防を徹底していたにもかかわらず陽性判定が出てしまい、「約2週間の自宅療養から職場復帰したばかり」というタイミングでの出演でした。
鹿野院長は、「初めはいつもの軽い風邪の引きはじめぐらいの症状があって、特に検査までは考える状況ではありませんでした」「2~3時間おきに解熱剤を通常の倍ぐらい飲み続けて、やっと体中にまとわりつくような寒気がよくなりました」などと具体的な症状をコメント。さらに、「『いたるところの血管が詰まって心臓発作や脳卒中を起こす』という怖さはつねにありました」と医師でもそれほどの不安を抱くというシビアな現実を明かしました。
また、「医学的に言うと、『鼻あるいは口から酸素投与する必要がない』という点では中等症にも値しない軽症ということになりますが、自覚症状としては人生1、2位を争うつらさでした。これを軽症というのはどうかと思います」とはっきり語っていたのです。
これらのコメントから、鹿野院長と『とくダネ!』制作サイドの両者が、「軽症」という言葉のミスリードをただしたいという意思を感じました。ここまではっきりと言い切った以上、両者は今後もこのスタンスで発信し続けていくでしょう。
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