おこづかいを「無計画に」あげる家庭が危うい訳 成人年齢は18歳に引き下げ、マネー教育は急務
マネー教育としての「おこづかい」
「今の小学生はおこづかいをもらっていない。そもそも子どもたちは『お金を使う機会』そのものがありません。必要に応じて親が買ってくれるからです。これは親にとっては、実はとてもラクなんですね。トラブルが起こりにくいですから。
しかし、そんな『無菌状態』で育った子たちは、成長してから『もっと大きなマネートラブル』、たとえば、マルチ商法の被害にあうなどといったトラブルに巻き込まれる可能性が大きいんです。マルチ商法の場合は、被害者になるだけでなく、自分が別の被害者を生み出してしまうこともある。そんな危険なワナに、何の危機意識もなく足を踏み入れてしまったりするんです」
こう話すのは、横浜国立大学名誉教授の西村隆男先生です。ただし、この言葉は今から17年前の2004年、幼稚園ママがメインターゲットの雑誌『コモ』(現在は休刊)のおこづかいの記事に掲載されたものです。そしてこう続きます。
「今の若い子たちは、豊かな社会で穏やかに育ってきた世代です。まっすぐで素直で、『うまい話』を疑うこともない。しかし今の社会にはそういう素直さを食い物にしようとする人がたくさんいます。カードローン、多重債務……20代の自己破産の件数は増加の一途をたどっています。
いいですか? お金のワナにあっさり引っかかってしまうこの世代は、“子どものうちはお金を持たせない”と育てられた世代なんですよ」
消費者教育学、生活経済学が専門の西村先生が、17 年前に大学生や20~30代の若者を見て抱いた感想です。当時は小学生におこづかいをあげない家庭が主流でした。
理由は、先生も言うとおり「必要に応じて親が買ってあげるほうがラクだから」。
さて、ここで質問です。あのころ小学生だった子どもは今、何才ぐらいでしょう?
そう、24才から29才。自立した生活が始まっている年ごろです。
その小学生だった子どもたちが社会人になって、状況は変わったのでしょうか。
西村先生に尋ねてみました。
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