進化続ける「山形新幹線」、冬場の安定性増すか 駅改良、トンネル、新型車両に奥羽新幹線構想
近年における山形新幹線の年間の運休や遅延の発生件数は、「平成25年豪雪」の年の2013年は410本(遅延113本、運休297本)に達し、他の年も200〜300本という状況にある。2018年、走行100万kmあたりの輸送障害件数はおよそ22件でフル規格新幹線の30倍以上、在来線の平均値に対しても4倍前後という高い数値を示す。
冬の風雪だけでなく、寒暖差が一気に訪れた今秋は落葉によるスリップが多発し、編成が短く重量も軽い普通列車(始発列車)が勾配を登れず引き返す事態も発生し、その日は以後の列車に影響を及ぼした。そのため福島発7時14分の始発普通列車を繰り下げ、編成が長く電動車比率が高い7時48分発の「つばさ」を先に通すという臨時措置(11月23日〜12月13日)を講じた。
そうした不安要素を解消する抜本的な防災対策として考えられたのがトンネル整備構想で、全長23kmの短絡トンネルを整備すると、頻発する輸送障害の低減のほか短絡化による10分強の時間短縮効果が見込め、地滑りや雪崩のリスクの完封、災害時の乗客救出や復旧が困難となるリスクも完封する。工費約1500億円、工期は着工から約15年とする。
なお、山形県では次に記する奥羽新幹線との関連で、このトンネルをフル規格の断面で掘ることを要望しておりその場合はプラス120億円となる。
峠越え区間を短絡するトンネルとなれば、相当の急勾配でも新幹線電車の性能をもってすれば時速200km以上での走行も考えられるのではないかと思う。JRは地元負担を含めた工費の負担方法を検討中で、山形県としては国が目指す国土強靭化の観点から国の財政支援を得られるスキーム作りを提案している段階という。
相対的地位が下がってきた山形新幹線
一方、山形県がねじを巻き直しているのが奥羽・羽越の両フル規格新幹線である。いずれも1973年に「昭和60年度までに整備すべき路線」として基本計画に組み入れられた路線だが、以来そのままである。
現在の山形新幹線は、フル規格新幹線が夢のまた夢という中での現実案として実現した。当時は東京から新幹線が直通するとして工業立地が急増したり、今も1日に9000人程度(福島―米沢間断面交通量。開業直前は6000人台)の利用を維持し続けるなどの効果を発揮しているが、フル規格新幹線の青森、北海道、あるいは金沢への延伸を経て、相対的地位が低下してしまった。
東京―新青森間が最速2時間59分(44号)となった中、その半分の距離の東京―山形間は最速2時間26分(131号が大宮―福島無停車で結ぶ、他に129号が2時間27分)、一般的には2時間45分前後である。
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