進化続ける「山形新幹線」、冬場の安定性増すか

駅改良、トンネル、新型車両に奥羽新幹線構想

在来線を走行する山形新幹線は障害が多発する傾向にあり、福島駅14番線の到着・出発順序の変更を含めた運転整理が発生しやすい。基本的には上りを優先した手配を行うが、上りの遅れが増延しないとわかれば下りを優先する場合もある。

また、「やまびこ」と「つばさ」の到着に時間差が生じた場合、10〜15分を目安に、併結をやめてそれぞれの単独運転も検討するが、それには新たに乗務員が必要なため多くは運転できない。そのため遅延状況によっては所定の併合列車より1本後の「やまびこ」に併合するよう、在来線区間で運転を調整する場合もあるーーといったように、「つばさ」をめぐっての苦労は多い。

そこで、奥羽本線から東北新幹線上りホーム11番線に直接アプローチする上り専用の線路を設け、上下別線にしようという計画である。奥羽本線から現アプローチ線の反対側に分岐し、大きく曲がりながら東北新幹線高架をくぐりホーム部分へ上がってゆくものだ。

福島駅改良の計画図。山形新幹線に上り専用のアプローチ線を設けて11番線と結び下り列車との交差支障をなくす(画像:JR東日本)

現地に立つと、新幹線高架と東北本線の間はJR東日本の敷地が占め、用地確保は問題ないようだが、新幹線高架をくぐってから距離がない地点に東北本線を跨ぐ道路橋があり、それを越えなければならない。そのため勾配はかなり急かと察せられる。今はまだ工事の様子はないが、2026年度末の使用開始予定が公表されている。

2024年に時速300kmのE8系導入

同時に発表されたE8系は2024年春から営業投入される予定。最高速度を時速300kmとする点が大きな変化である。

「つばさ」用に2024年に登場する予定のE8系(画像: JR東日本)

E5系・E6系と同じ時速320kmでない点は、ダイヤ上の制約が解消しきれないのでは?と気にかかるが、E2系とE3系併結による時速275km運転に対してE5系との併結でスピードアップを図る。車両デザインは、最近のJR東日本の各種列車を手掛ける奥山清行氏の監修の下、最上川をモチーフに「豊かな風土と心を編む列車」をコンセプトにして川崎重工業が担当する。

7両編成17本(計119両)を2026年春までに新造する計画ではあるが、新型コロナで需要減という不安要素が生じてしまったので、その全数を新造するかは目下の検討事項であろう。

一方、その先に向けて福島―米沢間の改良と奥羽新幹線がある。前者はJR東日本としての取り組みで、2017年に公表された。後者は山形県としての取り組みだが、県資料の内容は福島―米沢間改良にも共通する。そこには山形新幹線の自然災害の発生状況等のデータが示されている。

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