リニアの命運を握る、「6月静岡県知事選」の行方 選挙に強い川勝知事、対抗できる有力候補者は

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コロナと並列でリニアの危機を唱えるのは、もし、自民系候補が知事に就けば、現在、議論が続く水環境や自然環境問題は国やJR東海の主張通りに従い、静岡県にとって不幸な結果を招くと言いたいからだろう。国やJR東海と「闘える」のは川勝以外にいないとも聞こえる。

「平常と同じことをするべきではない」発言は、公職選挙法改正を伴う知事選の延期をほのめかしたしたわけではない。

知事は、自らの出馬を念頭に、対抗馬を模索する自民県連を牽制しているのだ。新型コロナという緊急事態の中で、選挙活動は密をつくるから、早期の立候補は危険を生み出すと警告、さらに自民県連は候補擁立を断念して、政策協定を結ぶ選択をすべきと言いたいのだ。

2017年の前回選同様に自民県連が候補擁立をできない状況も頭にあるようだ。新型コロナによる「有事」を強調して、“挙県一致”でコロナの危機に当たろうと提案する。県議会が全会一致の推薦を決め、お膳立てをしてもらったうえで、選挙直前に立候補表明したいのが知事の本音だろう。

県民には帰省自粛を要請したが、自分は別荘へ

ただ、新型コロナによる緊急事態、有事と言うわりには、川勝知事には緊迫感が欠ける。その好例が、12月26日から1月3日まで長野県軽井沢町の自宅で正月休みを取ったことである。1月4日の会見で、知事は、ベートーヴェンを聞いて新年を迎える優雅なひと時を過ごしたことを明らかにした。さらに、菅義偉首相宛に、国内でのワクチン開発とともに、南アルプストンネル工事の静岡工区について事業凍結が望ましいと書き、菅首相の似顔絵のついた飴を添えて、「頑張ってください」としたためた手紙を送ったというのだ。

新型ウイルスの緊急事態というならば、知事はいつでも陣頭指揮を執る備えをしなければならない。感染症対策を担う県職員は連日出勤し、年末年始もなかった。県トップを務める知事が不在にしているなど職員は思いもしなかったはずだ。

有事の際、重要な役割を担う知事が、往復8時間以上かかる軽井沢まで出掛けることが望ましいはずはない。暮れには、新型コロナの緊急事態を強調して、年末年始、県境をまたぐ、不要不急の帰省を避けるよう県民に要請したばかりだった。

また、軽井沢までの遠い道のりを考えると、いくら運転に自信があるとしても、高齢であり、冬の積雪期のドライブにはさまざまな危険がつきまとうのだ。何らかの事故に巻き込まれれば、知事という職務を放棄しなければならない。

知事の海外出張好きは県庁内で有名だが、陣頭指揮を執るという強い責任感の欠如が今回、正月休みを軽井沢で過ごしたことで明らかになった。

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