トヨタ「プリウスα」終売、消えゆく人気車種 トヨタの転換、希少な7人乗りHVワゴン消滅へ

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かつて、RV(レクリエーショナル・ヴィークル)とか、クロカン四駆(クロスカントリー用四輪駆動)などと呼ばれた、アメリカ・ジープやトヨタ・ランドクルーザー、三菱パジェロなどは、一部の消費者には好まれたが、車体の大きさなども含め誰もが選ぶ車種ではなかった。

普段使いからレジャーまで楽しめる5ナンバーSUVとして人気を博しているライズ(写真:トヨタ自動車)

しかし、今のSUVは、5ナンバーのトヨタ「ライズ」やダイハツ「ロッキー」はもちろん、軽自動車のスズキ「ハスラー」、ダイハツ「タフト」などに至るまで、誰もが欲しがるクルマとなった。各社ともに人気のSUVを充実させ、バリエーションを増やすことで車体の大きさといったデメリットを払拭している。

それでもいざ使ってみれば、上記のような不便もある。一度試してみたいという消費者の欲求が満たされれば、次はより使い勝手のいい車種に目が移るだろう。そうすれば、再び4ドアセダンやステーションワゴンという選択肢が求められるのではないかと思うのである。

高齢社会に求められるセダンやステーションワゴン

今日の4ドアセダンは、大人4人が快適に乗れ、荷室にもそれ相応の荷物を十分に載せられる。なおかつ、後席背もたれを前方へ倒す機能を利用すれば、長いものも載せられる。さらにステーションワゴンであれば、より容易に荷物の出し入れができる。

同時にまた、4ドアセダンやステーションワゴンは座席位置が低いので、乗り降りが楽だ。体の動きが硬くなったり、足腰に力が入りにくくなったりした高齢者にも、乗降しやすい車種である。これからさらに高齢社会が進展するとされる現在、SUVに乗り降りできる高齢者は少なくなっていくだろう。

その点で、プリウスαは基になったプリウスより8cmほど車高が高く、あまりかがまなくても乗り降りしやすい車体だ。それでいて、ワゴン的なクルマだから座席位置は低い。また屋根が高いぶん、荷室への荷物の出し入れも頭をぶつける心配が減り、便利であるはずだ。つまり、発売当時はもちろんのこと、これから先も改めて使い勝手が見直される可能性の高いつくりである。

5人乗りと7人乗りの設定があり、大人数の移動はもちろん、大きな荷物も積みやすい車室が魅力のプリウスα。それでいてSUVのように車高も高くないステーションワゴンは、乗り降りや荷物の積み下ろしもしやすい(写真:トヨタ自動車)
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