パーク24、カーシェア強化に380億円投資の本気 コロナ影響でレンタカー事業からのシフト加速

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一方、カーシェアも一時は大幅に落ち込んだものの、2020年7月以降は毎月の利用件数が前年を上回って推移。自家用車を持たない世帯が比較的多い首都圏での利用が増えており、カーシェア事業を担当する子会社タイムズモビリティの川上紀文社長は、「コロナをきっかけに潜在需要が顕在化した」と語る。

レンタカー事業と比較すると、カーシェア事業は人的な効率がいいうえ、業界トップの駐車場事業とのシナジーも大きい。パーク24が展開するカーシェアサービス(タイムズカー)は、個人利用の月額会費が880円で、15分ごとに220円(ベーシッククラスの車両)の料金が発生する。利用者がスマートフォンやパソコンで予約し、会員カードをかざして車を解錠するので、レンタカーのような窓口業務のためのスタッフを常駐させる必要がない。

また、カーシェアのビジネスでは車両の置き場所の確保が問題になるが、パーク24は自社で展開する駐車場(タイムズパーキング)にカーシェア用の車両を配置。自宅などの近くにある駐車場に行けば車に乗れるため、利用者にとって利便性が高く、競合他社に対する大きな強みとなっている。

巨額赤字から再び成長路線目指す

パーク24は一連のコロナ影響により、国内外の事業が大きな打撃を被った。特に2017年に買収してから不振が続いていたイギリスでの駐車場事業の赤字が大幅に拡大し、2020年10月期決算は146億円の営業赤字を計上。現地子会社ののれん減損特損も膨らみ、466億円の最終赤字に陥った。

巨額の赤字転落により、1年前に30%あった自己資本比率は2020年10月末時点で10%にまで低下。痛んだ財務を修復するため、同年12月にメインバンクの三井住友銀行や日本政策投資銀行など5行から総額500億円の劣後ローンを借り入れた。

2021年10月期は黒字回復を見込んでいるが、コロナ感染再拡大でイギリスをはじめとする海外の駐車場事業は引き続き厳しい。回復基調にあった大黒柱の国内駐車場事業も先行きに不透明感が漂う。

逆風下で黒字復帰し、さらにそこから再び成長軌道に戻れるかどうかは、カーシェア事業の今後の拡大スピードがカギを握っている。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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