「ロス再封鎖」に感じる前回とは違う異様な空気 高級住宅街でデモ、公園に増えるテントの数…

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家族が集まって会食するであろう感謝祭を前にして、いま手を打たなければ感染爆発する、というのがソーシャルワーカーの資格を持つ彼女の持論だった。賛成票3対反対票2の結果、翌25日から「アウトドア席を含む、店での一切の飲食禁止命令」がロサンゼルス郡内のすべてのレストランに施行されることになった。

ちなみに、ロサンゼルス郡の多くのレストランは、コロナ禍の苦肉の策として、店の駐車場スペースや道路脇に臨時にテーブルと椅子を設置し、客が店の外で座って食事をできるようにしていた。気候が温暖なロサンゼルスでは、店外の席でもそれほど寒くはなく、ビバリーヒルズの有名レストランなどは、連日多くの客でにぎわっていた。

店によっては、店外の各席をプラスチックの板やビニールで区切っている場合もあれば、まったく仕切りを設けていない場合もある。ところが、今回の決議で、「青空営業」がすべて禁止されることになったわけだ。

州知事も「晩餐」風景撮られる

キュール氏は「客と接する配膳係の人々の健康を守るために、禁止令が必須だ」と語った。そして、その票を投じた決議当日の夜に、同氏が自宅近くのイタリアン・レストラン「イル・フォルノ」のアウトドア席で夕食を楽しんでいた光景を住民に目撃され、瞬く間に全米のトップニュースとなったわけだ。

「自らの権力を使って、翌日から営業禁止に追い込むレストランのパティオ席で、明日から職を失う配膳係に給仕をさせて満足か。何て偽善者だ!」

キュール氏の自宅に向かい、そう叫ぶ人々。その集団の中には「TRUMP」と書かれた巨大な青い旗を持つ若い男性も一人いた。ちなみに「サンタモニカ共和国」と呼ばれ、リベラルの本拠地として知られるサンタモニカ市では、トランプ支持者の旗を見ることは通常は皆無に近い。

12月2日にはロサンゼルス市長が市民に対し「外出禁止令」を発令。さらに12月13日にはカリフォルニア州知事が、州民に正式に「外出禁止令」を出した。実は、このカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏も「レストランでの食事光景」を目撃された政治家の一人だ。

ナパの高級レストラン「フレンチ・ランドリー」で、12月6日に十数人以上がひとつのテーブルを囲む姿が写真に撮られた。その中にニューサム州知事も写っていた。さらに、会食相手は彼が懇意にしているロビイスト仲間だったことが発覚した。

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