建設業、深刻さを増す「後継者不在」の複雑背景

コロナ禍で経営存続をあきらめる企業が続出

1つ目は、業界全体で就業者の高齢化が進む一方で、「若者離れ」が顕著なことだ。建設業就業者のうち55歳以上の比率は35%と、全産業平均の30%を上回る。逆に、29歳以下の比率は11%と、全産業平均の16%を下回る。

建設業界に関する著書もあるMABコンサルティングの阿部守代表は、「仕事がきついうえに、それに見合う収入も望めないので、建設業で働きたい、あるいは親が経営する会社の後を継ぎたいと思う若者が少ないのだろう」と指摘する。

希薄な後継者育成の意識

バブル崩壊や世界金融危機時に職人離れが加速し、「きつい、汚い、危険」という『3K』のイメージが定着した建設業は、若者の間の印象はけっして良くはない。「最近は大学の『土木工学科』が減っている印象がある。実質は土木工学を教えているのだが、『社会環境工学科』や『都市創造工学科』など土木の名称を使わない学科名に変えている大学は少なくない」(阿部氏)というほどだ。

2つ目に、経営者も後継者を育てる意識が希薄なことがあげられる。元来、職人気質の経営者が多いこともあり、「2代目育成セミナーなどが開催されても、受講したがる経営者はほぼいない」(鉄筋業界関係者)。

また、建設業は資本金5000万円未満の中小・零細事業者が全体の95%以上を占めている。「大きな工場や設備を保有しているわけでもないので、そういった資産の継承に考えをめぐらせる必要もなく、後継者の育成を意識しない経営者が多い」(別の業界関係者)。

子どもに継がせても、経営がうまくいかないケースも後を絶たないようだ。前述の鉄筋業界関係者は、「親父の時代に勢いがあった企業の子どもは、遊び人になりやすい。先代が関係を築いた取引先や職人さんのいることを、当たり前のように考えてしまいがち。そうなると、総作業長や工事部長といった現場を仕切っている人が『この社長ではやっていけない』と見切りをつけて、職人さんを連れて出て行ってしまう」と話す。

実際、東京都鉄筋業協同組合に所属する約50社の企業のうち、2代以上続いている事業者は10社程度しかないという。

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