リストラ請負人映画『マイレージ、マイライフ』のエンディング曲を歌うのは、リーマンショックでリストラされた男--ケビン・レニック
--なぜ会社勤めを選ばなかったのですか?
母が病気がちなので、責任ある大人としては、何か仕事を探すべきだろうね。でもリストラされたことには天啓、つまり自分に何か意味があるんだろうと思った。人生を変える時期なのではないかと。そこで再就職活動は待って、退職金でギターを買った。さっそく音楽を作ったら、あるレストランのオーナーが気に入ってくれて、そこで演奏できるようになったんだ。
そんな時に、09年2月にライトマン監督が『マイレージ、マイライフ』のロケで、セントルイスに来るという話を聞いた。なんという偶然なんだと。実は僕も「Up In the Air」というタイトルの曲を作ったばかりだったんだ。なんとしてもこの曲を彼に渡そうと思った。使ってくれてもくれなくても、失うものはないしね。
--なぜ、ライトマン監督はあなたの曲を聴いてみようと思った?
それは監督に聞いてほしいが、普通は曲を聴いてくれと持ち込むのはティーンエージャーが多いものだ。でも僕は50過ぎのおやじ。そこに興味を持ってくれたみたいだ。しかも僕が持ち込んだのはカセットテープ。今どきいないよね。監督は再生機を持っていないので、友人のクルマのカセットデッキで聞いた。それで気に入ってもらって、「これを映画で使おう」とその場で決めてくれたそうだ。
--ご自身の歌声が使われましたね。
曲を採用してくれるというeメールがプロデューサーから来たので、それを兄に話したら、お前の声じゃ無理だと。マイリー・サイラスのような大スターが歌うんじゃないのと言われた。