地方創生成功の鍵は穏やかなカオスを作ること 100人の革新者を発掘したプロジェクトの要諦

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仲山:僕は異分子人材のことを「際者(きわもの)」と呼んでいます。変化というのは、つねに中央ではなく際で起こるものです。なので、際と際が混じり合うようなエリアを好んでうろうろし、化学反応が起こりやすくなるようなふるまいをする人のことです。そういう人は、組織からちょっと浮いていて「変わったやつ」と思われていることが多いので、そういうニュアンスも含めての「際者」です。

最後の「計画的偶然」は、セレンディピティやプランド・ハップンスタンス(計画された偶然理論)と呼ばれるものです。計画を立てて達成のために突き進むのではなく、偶然起こった出来事を受け入れながら「いまここ」を夢中で過ごすうちに、よい流れに運ばれて思っていた以上の場所にたどり着くようなスタンスです。

100人の革新者はみな異分子

齊藤:この方程式は、イノベーション・プログラムにも当てはまると思います。仲山さんが書いてくださった言葉は一見非常に謎めいていますが、僕にとっては納得感の強いものでした。

全国から集めた100人の革新者こそ異分子です。また、プログラムに参加しているメンバーも、僧侶や漁師、花屋、地域おこし協力隊など、あらゆる分野から集まっています。個性豊かな人たちが、半分計画的で半分偶然によって出来上がるセッションをやるのですが、これによって面白い化学反応が発生するんです。

余白については、「真剣な余白」が必要です。何かを生み出そうという真剣さとともに、時間という意味でもコミットメントという意味でも、ある程度の余白を持って参加することが大切だと思います。

このプログラムは、別名「ミステリープログラム」と呼ばれていて、最後に驚くような結果が出るんです。でも、100%偶然、100%仲良しコミュニティーでやると、穏やかなカオスは発生しません。ここが非常に面白いところですね。

齊藤 義明 野村総合研究所 主席研究員 2030年研究室長

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さいとう よしあき / Yoshiaki Saito

北海道大学卒業。1988年野村総合研究所入社、ワシントン支店長、コンサルティング本部戦略企画部長などを歴任、現在はイノベーション・プログラムの開発者として全国を飛び回る。100人以上の革新者(イノベーター)たちと親密なネットワークを持つ。著書に『日本の革新者たち』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『次世代経営者育成法』(日本経済新聞出版社)、『モチベーション企業の研究』(東洋経済新報社)など。

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仲山 進也 仲山考材株式会社 代表取締役、楽天株式会社 楽天大学学長

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なかやま しんや / Shinya Nakayama

創業期(社員20 名)の楽天に入社。楽天市場出店者の学び合いの場「楽天大学」を設立、人にフォーカスした本質的・普遍的な商売のフレームワークを伝えつつ、出店者コミュニティの醸成を手がける。20年にわたって数万社の中小・ベンチャー企業を見続け支援しながら、消耗戦に陥らない経営、共創マーケティング、指示命令のない自律自走型の組織文化・チームづくり、長続きするコミュニティづくり、人が育ちやすい環境のつくり方、夢中で仕事を遊ぶような働き方を探求している。著書『組織にいながら、自由に働く。』『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』ほか。

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