JR西「銀河」"昼の長距離特急"で見せた新たな顔 車窓の景色が移り変わり夜行にない魅力が満載
車内でもさまざまなおもてなしがある。福山駅到着間際に福山市出身のDJ小林克也氏による福山の魅力を伝える車内放送が流れる。「エンジョーイ」という英語交じりのアナウンスが楽しい。下り広島―徳山間では周南市の日本酒の試飲・販売が行われる。
銀河が山陽区間を昼間走ることは当初から想定されていた。10〜12月にこれに合わせて10月から山陽乗り入れを行う予定だった。しかし、コロナ禍の影響によって山陰方面への運行開始が5月から9月へとずれ込み、その余波で山陽乗り入れもずれ込んだ。デスティネーションキャンペーンにはぎりぎりで間に合ったことになる。
大阪―下関間約500km、山陽新幹線「ひかり」なら2時間強で行き来できる(新大阪ー新下関間)もかかわらず、12時間かけて走行する。新幹線どころではない。大阪で銀河の発車を見届けた後、同駅を8時00分に発車する新快速に乗れば、相生、岡山、糸崎、岩国で普通列車に乗り換えて18時20分に下関に着き、19時45分着の銀河を出迎えることができる。その意味で、銀河は特急にもかかわらず、普通列車よりも遅い。
ひと味違う列車の旅を
もっとも、所要時間が普通列車よりも長いことに対してクレームをつける銀河の客はいないだろう。ノビノビ座席やグリーン個室は、夜はベッドとして利用されるが、昼間にゴロンと寝そべって、足を伸ばして、大きな窓から外の景色をのんびり眺めるという楽しみ方もできる。自宅のようなリラックス感を味わえるのは銀河ならではの魅力だ。
JR西日本の豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS(トワイライトエクスプレス)瑞風」は1人当たり料金が安くても30万円台、高いものでは100万円を超えるプランもある。これに対して、銀河は基本的には運賃、特急料金、グリーン料金のみ。宿泊料金や片道の新幹線代込みで日本旅行が販売する旅行商品の料金も2万〜3万円程度だ。通常の列車とひと味違う長距離列車の旅をカジュアルに楽しみたい人にとっては最適な列車といえる。
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