フェイスブックを使うほど「孤独感」が増す訳 私たちは人生の数年をFB利用に費やしている

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私が子供の頃は、自分を比べる相手はクラスメートくらいだった。憧れの存在といえば、手の届かない怪しげなロックスターくらいで。今の子供や若者は、クラスメートがアップする写真に連続砲撃を受けるだけではない。インスタグラマーが完璧に修正してアップした画像も見せられる。

そのせいで、「よい人生とはこうあるべきだ」という基準が手の届かない位置に設定されてしまい、その結果、自分は最下層にいると感じる。

私が育った80年代よりもっと前に時間を巻き戻すと、比較対象はさらに変わる。人間の祖先も部族内で競い合ってはいたが、ライバルはせいぜい20~30人程度だった。それ以外の人は歳を取り過ぎているか若過ぎた。

一方で、現在の私たちは何百万人もの相手と張り合っている。何をしても、自分より上手だったり、賢かったり、かっこよかったり、リッチだったり、より成功していたりする人がいる。

常に周りと比較してしまう

SNSを通じて常に周りと比較することが、自信を無くさせているのではないか。まさにそうなのだ。フェイスブックとツイッターのユーザーの3分の2が「自分なんかダメだ」と感じている。何をやってもダメだ──。だって、自分より賢い人や成功している人がいるという情報を常に差し出されるのだから。特に、見かけは。

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10代を含む若者1500人を対象にした調査では、7割が「インスタグラムのせいで自分の容姿に対するイメージが悪くなった」と感じている。

20代が対象の別の調査では、半数近くが「SNSのせいで自分は魅力的ではないと感じるようになった」と答えている。同じことが10代にも当てはまる。あるアンケートでは、12~16歳の回答者の半数近くが「SNSを利用したあと、自分の容姿に不満を感じる」という。男子に比べ、女子の方がさらに自信が揺らぐようだ。

ヒエラルキーにおける地位が精神状態に影響するなら、この接続(コネクト)された新しい世界──あらゆる次元で常にお互いを比べ合っている世界が、私たちの精神に影響を及ぼすのはおかしなことではないのだ。

アンデシュ・ハンセン 精神科医

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Anders Hansen

ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得。現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行う傍ら、有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。前作『一流の頭脳』は人口1000万人のスウェーデンで60万部が売れ、その後世界的ベストセラーに。

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