中高を視野に「プログラミング授業」は小1から 教員のためにも今は早い時期から始めるべき

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2020年4月から小学校で必修化されているプログラミング教育だが、具体的な授業の実施方法が固まっているとはいえず、現場の教員は手探りで授業をつくっている状態だ。連載第1回ではプログラミングの授業での子どもたちとの向き合い方について語ったが、今回のテーマは「授業設計の基本思想」。どのようにゴールを設定するべきなのか、そもそも何年生から開始するべきなのかについて探った。
第1回独学?習う?プログラミング授業の準備と現実<教員のスタンス編>
第3回プログラミング授業の作り方と教材選びの要諦<教科・ソフトの選び方編>
第4回 「プログラミング授業」意外な落とし穴と対処法 <ICT支援員編>
第5回 プログラミング「理解ない管理職」の巻き込み方 <コミュニティ編>

「正解がない」からお互いを認める

連載第1回で、プログラミング教育は必要以上に気負わず、児童に「委ねる」ことが重要という基本姿勢を紹介した。今回はこの姿勢でうまくいった小学校の話から始めたい。

「授業開始5分後に立ち上がって歩く子もいたのが、授業2回分、90分続けても全員集中できたのには驚きました。また、今でも鮮明に覚えているのは、面白いプログラムをつくった子に対して『すごいじゃん、俺もやってみよう』『どうやったのか教えて』という反応があったことです。それまでは、できる子に対して否定の言葉を投げつけたり、自分を卑下したりする子も多かったので不思議でしたが、のちに『正解がないから』だとわかりました。正解を求めるのではなく、一人ひとり異なる表現ができるから、集中できるしお互いを認められるんです」

こう語るのは、合同会社MAZDA Incredible Lab CEO 松田孝氏。小学校校長だったとき、全国に先駆けてプログラミング教育を実践したときのことだ。

合同会社MAZDA Incredible Lab CEO 松田孝
東京学芸大学卒業、上越教育大学大学院修士課程修了。早稲田大学大学院博士後期課程在籍中。東京都公立小学校教諭、狛江市教育委員会主任指導主事(指導室長)、小学校校長を3校歴任後辞職。現在総務省地域情報化アドバイザー、群馬県ICT教育イノベーションプロジェクトアドバイザー、金沢市プログラミング教育ディレクター等も務める。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』(くもん出版)、『プログラミングでSTEAMな学びBOOK』(フレーベル館)がある
(撮影:今井康一)

変化の激しいこれからの時代、求められるのは1つしかない正解ではないと松田氏。これは新たな学習指導要領が目標とする「生きる力 学びの、その先へ」とも合致している。これまでの知識を詰め込むような学習だけではなく、「主体的・対話的で深い学び」ともリンクしている。

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