アップル、「9年ぶり新店」の次は? 東京・表参道にアップルストアを新設

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だからといって、ユーザーとの接点が不足していたわけではない。アップルは、日本においては大手家電量販店との提携を重視してきた経緯がある。日本の家電量販店の店舗オペレーション能力は高く、店舗網も充実しているからだ。ヤマダ電機、ケーズデンキ、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの大手量販店はアップルと契約を結び、主要店舗内に独立した販売スペース「アップルショップ」を展開してきた。

顧客との接点がますます重要に

とはいえ、アップルのサービスは、急激に広がりを持つようになってきている。健康管理を行うヘルスアプリ、企業向けのクラウドサービス、自動車との連携機能・・・・など領域が広がっている。専門知識を持った店員が丁寧に説明しなければならない局面が増えている。ヘッドホン大手の「ビーツミュージック」を買収したことで、「アップルが自社製品とセットで売りたいもの」も加わった。

同社が表参道に続く出店計画を明らかにしてはいるわけではないが、アップルのブランド力を高めると同時に、そのブランド力を活かした顧客との接点でもあるアップルストアの重要性は、今後もさらに高まると予想される。アップルの事情に詳しいジャーナリストは次のように解説する。

 「日本の場合には、銀座・渋谷は非常に混み合っていて、長く問題視されていた。人口・顧客数の割に、日本はアップルストアの数が少なく、店舗増強が 必須。今後も増える可能性が高い。しかし、充分な広さの店舗を都会に作るには、用地確保の問題が大きく、量販店との連携による展開の方が現実的かもしれな い」(西田宗千佳氏)

「米国ではニューヨークに5店舗、ヒューストンにも4店舗が出店されている。巨大都市・東京には、まだまだ出店余地があるといえるだろう。また”首都圏”という括りでとらえると、横浜もアップルストアの空白地帯として挙げられる。さいたま市などのベッドタウンや、各地方都市など隙間は多い。米国に多いショッピングモール内の小規模店舗を増やす可能性もある」(本田雅一氏)

「アップルストアの店舗数は、米国に比べると、人口比からみればまだまだ少ない。スマホやタブレットの広がりとともに、街の特性にあわせたユーザー層を獲得するための展開があってもいい。また、四国、中国、北陸にも店舗がほしいところ。その点では、今後のアップルストアの多店舗展開に期待したい」(大河原克行氏)

果たして、日本でも多店舗展開が始まるのだろうか。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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