共通テスト、新教科で浮上した「情報」って何? AIやITに欠かせないスキル「情報I」必履修に

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今、世界的にAIやITによる技術革新が経済成長につながるといわれる中、政府もDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切っている。そこで、プログラミングやAIを使いこなせる人材育成を学校教育でもやらなければならないと、国を挙げて検討してきたのである。では、なぜ今まで「情報」は入試教科に入らなかったのか。辰己氏はこう指摘する。

「これまで『情報』は選択必履修で、実際どの科目を高校で学んできたのかわからないという事情がありました。高校の実情がわからないので入試問題を作りにくい。『情報』を出題すると、受験生を失ってしまう可能性もあったからです」

その点、22年から高校で「情報I」が共通の必履修科目になる影響は大きいという。「デジタルがないと立ち行かなくなると多くの人が認知した結果」(辰己氏)と言うが、共通テストに「情報」を導入する議論が再燃しているのも、こうした背景があるからだ。

「入試に入れば、よくないこともいっぱいあります。テクニックを覚えればなんとかなる、覚えさせる授業をやればいいとなってしまう可能性があるからです。しかし、入試に入れない弊害のほうが、もっと大きい。入試の教科ではないイコール高校で力を入れてやらなくてもいい、ということが20年続いてきてしまっています。その影響で、学校現場で情報を教えられる先生が少ない。『情報の先生が学校に一人もいない』ことが珍しくなく、情報科教員の臨時免許を与えたり、ほかの教科の先生が『情報』を教えていることもよくあるのです」

だから、共通テストに「情報」が入るインパクトは大きい。しかも現行の国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の6教科と並ぶ教科として「情報」が入るのだ。どれだけ「情報」で培われるスキルが重視されているかがわかるだろう。

新しいテクノロジーを学ぶことが格差解消につながる

いったい、どんな問題が出題されるのかも気になるところだ。これまでセンター試験では「情報」はなかったが、工業高校、商業高校などの「情報関係基礎」では似たような問題が出題されているという。実際その内容を見てみると、知識問題からプログラミングに近いものまで入っていて、共通テストの出題傾向を考えるうえでは参考になりそうだ。

「情報I」の教科書を見てみるのがいちばんだが、現在教科書は検定中。ただ、その全貌はわからないものの「文部科学省が公表している高等学校情報科『情報I』教員研修教材を見ると少し見えてくる」と辰己氏は紹介してくれた。

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