「朝ドラ次期ヒロイン」杉咲花の知られざる決意 自ら立ちありのままで歩む理想の「女優道」

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杉咲花にも共通している女優を目指す物語。彼女が女優を志した原点には、どのようなきっかけがあったのだろうか。

「小さい頃からドラマが大好きで、1クールの間に放送しているドラマを全部見るくらい夢中だった私は、女優の志田未来さんに憧れてこの世界に入りました。大好きな作品、そのほとんどに志田未来さんが出演されていたんです。それで自分もお芝居をやってみたいなと思ったのがきっかけです。ちょっと千代と似ているのかな、と思う部分ですね」

作品の中で千代には、戦争、離婚など険しい試練がどんどん降りかかってくる。負けずに前を向いて進んでいくヒロインは、不死鳥のように女優として復活を果たし、「大阪のお母さん」として絶大な人気を獲得する。杉咲は台本を読んだり演じたりするうちに、『おちょやん』という作品自体が、自身にとっての大きなモチベーションになっていることに気づいたという。

「いろんな人と出会っていろんな場所に行く千代ですが、どこにいっても周りの人たちから愛されます。最初はキツイ対応をされることもありますが、諦めずにまっすぐ向き合う千代の人柄が、すてきだなと感じます。

自分が落ち込むところや悲しい姿を人の前で見せないところが、すごいなとも思うし、不器用だなとも思います。でも、自分の力で立って進んでいこうとする人だからかっこいい。自分と似ているかどうかは……どうでしょう まるで違うということはないです (笑)」

コロナ自粛をどう過ごし、作品へ活かしたのか

2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大は、エンターテインメント界にもかつてない危機をもたらした。テレビ番組の制作は中断、新作映画も公開できない状況が続いた。実際『おちょやん』の現場は、クランクインしてから数日間、撮影の途中で自粛期間に突入したという。この時期をどんな心境で過ごし、逆境を乗り越えようとしていたのか。

「自粛期間があって、台本を読む時間がものすごくありました。不安だった関西弁を練習したり、台詞をどんどんと覚える時間があり、自分にとってはすごく良い時間になりました。撮影データを監督が送ってくださり、千代の子ども時代を演じる毎田暖乃ちゃんのお芝居もたくさん観ることができたりして。

もし自粛期間がなければそういうことはできなかったと思うと、千代と向き合う時間を得られたことで、より現場に入るときの心持ちができたように感じています」

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