団塊ジュニアの矛盾する消費動向 最後のマス世代が動けば、日本が動く?

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難しい内面を抱えたこの世代を、社会属性からよりシンプルに考える人もいる。

博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平さんは、「子どもの有無」「正規雇用か非正規雇用か」が重要で「年収だけ見ていたら、見誤ることがある」と言う。

公務員の男性(41)とライターの妻(41)も、夫婦合わせれば年収900万円。ただし、中学生1人、小学生2人の教育費や貯蓄にお金を回すから、夫婦が自由に使えるのは月4万円だけだ。

「子どもがいれば、教育費はかけたい。どこを削るかといえば、自分の消費」(原田さん)

子育てまっさかり。子どものいる世帯の消費に、マイ消費を期待するのは難しい。彼らの消費は常に「家族」「子ども」とワンセット。仮にクルマを買うとすれば、ファミリーカーだ。フォルクスワーゲングループジャパン広報は、「30代、40代の購入比率が高いのは、シャランなどのミニバン」と答える。

だから、マイ消費に所得を割けるのは「独身」。「実家暮らしか否か」という世代特有のファクターも加味する必要がある。

最後の勉強になるのか

IT関連企業で正社員として働く独身男性(38)は、年収580万円。実家暮らしだが、家にお金は入れないから、手取り月30万円は自由に使える。6万円を外食やゲーム関連に使い、残りをケータイ代や貯蓄に回している。貯金は1千万円。マイ消費の比率では、子どものいる世帯年収1千万円家庭よりも裕福だろう。同じ構造は、年収200万円台の非正規雇用者層にも見ることができる。月に手取りで15万円でも、マイ消費に月10万円はあり得る。

団塊ジュニアの非正規雇用者層で進む未婚化。このことは、この世代が「趣味の世代」とも呼ばれる一因にもなっている。原田さんは「自分が納得しないと動けない世代。プライドを尊重しながら、刺激する。団塊ジュニアの消費を動かすのは、これしかない」とし、こうも話すのだった。

「団塊ジュニアは、世代をテーマにしたマーケティングにとって『最後の勉強』になるかもしれない。ここでトレーニングしておかないと、後の世代の検証はさらに難しくなる」

(ライター:岡本俊浩)

※AERA  2014年6月9日号

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