「海外で突然発作」入院して知る意外な医療事情 世界を駆けるモータージャーナリストの体験談

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困った。基本的には、飛行機に乗ることなど許されない。かといって、今のように簡単にフライトスケジュールの変更もできない。それを言うと、我がかかりつけ医は、いとも簡単な解決法を伝授してくれた。

「空港と機内では、呼吸ができるようにだけ気をつけて、ストールで顔を覆えばいい」と。当時の検問検疫はあってないようなもの。なので、そんな小技でも難なく通用し、次の目的地ローマに移動できた。息子も幼いながら、泣きも騒ぎもせず大役を果たしてくれた。

ローマでは、同時期にヨーロッパ旅行をしていた家内の両親と落ち合う約束(同じホテルに宿泊)だったが、それも果たせた。ローマで父がホテルに医者を呼んでくれ、治療を受けた。息子は順調に回復。次の目的地ベニスでは、完全に元気を取り戻した。

怖かったアメリカの待合室

2度目の病院騒ぎは1970年代の終わり頃。わが家3人と友人ご夫妻2人……フォード・エコノライン・ベッド付モデルで、LAを起点にアメリカ中西部を旅したときのこと。メキシコ国境に近いテキサス州のデザートエリアを走っていた時、突然、家内が歯の痛みを訴えた。我慢できない痛みだったようだ。

砂漠のど真ん中で夜……モーテルを見つけたら泊まろうと思っていた矢先のこと。近くによそ者の緊急患者を診てくれる救急病院などありそうもない。そこで、いちばん近い大都市、フェニックス(アリゾナ州州都)を目指すことになった。

フェニックスの救急部門のある大きな病院に着いたのは夜中を少し回った頃。救急外来で待つことになったのだが、この待合室がすごかった。

待合室は満員。椅子はもちろん、床に座り込んでいる患者、転がってうめいている患者、血を流している患者、意味不明の言葉を叫んでいる患者……すごいというより怖かった。

かなり待って順番がきたが、診療室は、待合室とは別世界。静かで清潔だった。数分の診察で痛み止めを処方されたが、それが効いたのは幸いだった。保険に入っていたのでよかったが、請求書には300数十ドルの金額が書き込まれていた。この騒動で、アメリカの医療事情を実感した。

……といったことで、家族3人、海外で1度ずつ急病騒ぎを起こしている。でも、いずれも無事切り抜けられたし、後で笑って話せる思い出になっているのはラッキーだ。

(文:岡崎宏司/自動車ジャーナリスト)

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