新幹線「東京ー札幌4時間半走行」は可能なのか

時速360kmが実現すれば、一気に射程圏内に

新青森―新函館北斗間は148.8kmの距離がある。これを30分で走るなら、距離を所要時間で割った表定速度は時速297.6kmとなる。現状、東北新幹線の最速の表定速度は仙台―盛岡駅間の時速261.6km。170.1kmの距離を39分で結んでいる。そう考えると青函トンネル区間を30分で走り抜けるためには、これよりも速く走行する必要がある。

前述した通り、新青森―新函館北斗間には速度制限区間がある。これは青函トンネル内だけだと思われがちだが、国土交通省のプレスリリースでは、在来線との共用区間約82kmのうち「青函トンネル内の約54kmが最高時速160km、残りの新中小国信号場ー湯の里知内信号場の地上部分約28kmが時速140km」となっている。前述した「高速走行の実施」によると、時速210kmに引き上げられるのは青函トンネル内の53.85kmだけなので、青函トンネル外の共用区間地上部はそのままだ。

JR東日本の高速試験車両

現在、JR東日本は試験車両「ALFA-X」を使って最高時速360kmでの営業運転を目指した高速走行試験を行っている。

JR東日本の次世代新幹線開発に向けた試験車両「ALFA-X」(撮影:尾形文繁)

一般に速達列車では表定速度は最高速度の7~8割とされる。東京―新青森間で最高時速360km運転を行った場合を想定してみたい。前述したとおり、時速320km運転での同区間は2時間53分(表定時速234km)であり、最高速度の73%である。人口の多い東京―宇都宮間では速度向上できないことを考慮して、表定速度を最高時速360kmの7割とするなら時速253kmとなり、所要時間は2時間40分程度となりそうだ。

 新函館北斗―札幌間をノンストップで走る場合、最高時速360kmの75%とした場合は、表定速度は時速270kmである。この表定速度なら所要時間は47分だ。新青森―新函館北斗間の現行最速が59分なので、青函トンネルでの速度向上がなかったとしても、東京―札幌駅間は合計4時間26分。新函館北斗駅での1分停車で4時間27分となるが、JR北海道が発表した4時間30分を切ることができる。

なお、時速140~160km運転がなされている青函共用区間も速度向上できたなら、さらに短縮できる。青函共用区間を一時的に新幹線専用として最高時速260kmとし、接続する区間を最高時速360kmにした場合、加減速による速度ロスを考慮した筆者の試算では19分程度短縮できる。新青森―新函館北斗間の現行最速が59分なので、19分短縮できれば40分となる。

そうすると、新青森―札幌間は1時間27分。JR北海道がプレスリリースで掲げている1時間30分を切ることができる。東京ー新青森間は最高時速360kmで2時間40分だと思われるので、合計すると東京ー札幌間で4時間8分(新函館北斗駅1分停車を含む)程度もありうる範囲だ。

貨物列車の運行をどうするかという問題は残るが、新幹線の歴史は速度向上の歴史である。仮に最高時速400kmを実現したなら、4時間の壁を超えるだろう。さらなる速度向上を期待したい。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 最新の週刊東洋経済
  • 実践!伝わる英語トレーニング
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
地銀 最終局面<br>首相が追い込む崖っぷち

遅々として進まなかった地銀再編。しかし菅義偉首相は明確に踏み込みました。全国の地銀はどう動くのか、現状を徹底取材。今後起こりうる地銀再編を大胆予測。さらにビジネスモデルや行員の働き方にも注目し、地銀が生き残る道について探りました。

東洋経済education×ICT