トヨタ、コロナ禍での「販売急回復」にみた底力 牽引する米中市場、次世代技術への投資も継続
コロナ禍からの回復局面でトヨタ自動車が圧倒的な力強さを見せている。11月6日に発表した2020年4~9月期決算は、売上高が前年同期比26%減の11兆3752億円、営業利益が同63%減の5199億円だった。5月に掲げた通期の営業利益予想の5000億円を半年で超えたことになる。
6日の会見で豊田章男社長は「この6カ月間の現場の必死の頑張りもあった。社長になってからリーマンショック、東日本大震災、超円高といろいろありながらコツコツと積み上げてきた結果が出てきた」と話し、企業体質の強化が業績回復につながっていると強調した。
9月の生産・販売台数は過去最高を記録
大幅な営業赤字に陥ったリーマンショック以降、トヨタは一段の原価低減を進めてきた。足元の損益分岐台数(収支が均衡する連結の年間販売台数)は約600万台と、当時よりも200万台以上下がり、有事への抵抗力が増している。
それ以上に目を引くのが、足元の急激な販売回復だ。コロナの影響でトヨタの4~9月の世界販売台数は437万台と前年同期比20%減だったが、9月単月では世界販売・生産台数ともに前年超えを達成し、9月としての台数は過去最高を記録。中間決算の場で、トヨタは今年度の世界販売台数計画を昨年度比10%減の942万台(従来計画は910万台)に引き上げた。下期だけで見れば、前年度実績を1%上回る見通しだ。
想定を超える回復を受け、今回、通期の業績予想も大幅に上方修正。売上高を当初予想から2兆円上振れの26兆円(前期比13%減)、営業利益は1兆3000億円(同46%減)、純利益は当初予想のほぼ倍となる1兆4200億円(同30%減)にまで増額した。
業績回復を牽引するのは巨大市場の北米と中国だ。アメリカは業界全体の新車販売が8月まで前年割れだったが、9月には前年同月比6%増の約135万台に回復。ロックダウン期間中の新車需要が「後ろずれ」しているほか、ガソリン安や低金利ローンが販売の追い風になっている。「(需要回復で)中古車の下取り価格が上昇していることも消費者の新車への買い替え意欲を刺激している」(ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリスト)。
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