185系がすべて引退すると、「ムーンライトながら」に使用する車両をどうするかという問題が出てくる。もしE257系によって運転するとなると、JR東海の区間に乗り入れできるよう、保安装置などを対応させることが条件となる。
JR東海区間を走行する予定のE257系5両編成(2500番台)を2本連結すれば185系と同じ10両編成となるが、2500番台は4本しか導入される予定はない。もし「ムーンライトながら」に使用するなら上り・下りですべての編成を使うことになり、「踊り子」に使用できなくなってしまうため現実的ではない。
東京―伊豆急下田間で運用しているE257系の9両編成(2000番台)をJR東海区間に乗り入れられるようにするという方法もありうるが、臨時列車のためにそこまでするとは考えにくい。E257系2000番台をJR東海区間に乗り入れられるようにするかどうかについてもJR東日本に問い合わせたところ、「個々の車両改造内容に関するご質問については、回答は差し控えさせていただきます」とのことだった。
消えていった「ムーンライト」
「ムーンライト」の名を冠した列車は、かつてはほかにも複数あったが、今はいずれも姿を消している。
新宿と新潟方面を結んでいた「ムーンライトえちご」は、「ながら」と同様に2009年3月まで定期列車として運行され、その後は臨時となったが、2014年以降運行されていない。夜行急行「アルプス」の代替として多客期に運行されていた「ムーンライト信州」も、2018年12月を最後に運行されなくなった。
関西でも、京阪神地区と九州を結ぶ「ムーンライト九州」が2009年の1月をもって運転を休止、下関・松山・高知方面への「ムーンライト山陽」「ムーンライト松山」「ムーンライト高知」も同じころ運転を休止した。大阪と山陰方面を結ぶ「ムーンライト八重垣」は、2004年夏を最後に運行を行っていない。
「ムーンライトながら」も、コロナ禍で需要の見通しが立たないのに加え、使用車両である185系の引退が進むという状況にある。実際にどうなるのかは不明だが、これまでにほかの夜行快速列車がたどった経緯から推定すると、臨時列車なのでそのまま消滅する……というパターンが、残念だが今後の見通しとしてはもっともありうるのではないだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら