ユーザーが懸念するのは、このまま運転がなくなってしまうのではないかという点だ。2009年3月まで、「ムーンライトながら」は定期列車として運行され、その後は繁忙期、主に18きっぷのシーズンに運行されることが常となっている。
しかし年々運行日数は減っており、例えば夏は7月~8月にかけて運行していたものが2019年夏は8月のみの運行となった。また、冬(2019~2020年)もそれまで年末・年始に運転していたものが年末のみの設定となった。
かつて夜行快速列車は全国で複数運転されていたが、現在は「ムーンライトながら」が臨時列車とはいえ、事実上唯一の存在となっている。夜行快速列車の衰退は、高速ツアーバスなどほかの格安な交通手段が現れたことによる利用客の減少に加え、夜間運行に伴う負担など鉄道側の事情もある。
車両の問題も大きい。これらの列車に使用していたのは、古くなった特急型車両が中心だ。老朽化による車両の引退も、列車の廃止に結び付く。
使用車両の引退が迫る
コロナ禍がなくても、「ムーンライトながら」がこれまでに消えていった夜行快速列車と同様の状況にさらされていることに変わりはない。
「ムーンライトながら」は、定期列車時代はJR東海の373系で運転していたが、2013年冬以降はJR東日本大宮総合車両センターの185系10両編成(6両編成+4両編成)が使われている。
185系は、特急「踊り子」などに使われてきた車両で、国鉄時代の1981年から1982年にかけて製造されており、老朽化は否めない。「踊り子」には今年春のダイヤ改正からこれまで中央本線や房総方面などで使われていたE257系のリニューアル車両投入が始まっており、185系はいよいよ終わりを迎えようとしている。
この先の185系の動向についてJR東日本に問い合わせると、「今後の運転計画や車両廃止等については現時点ではお知らせできる内容はございません」との返答だったが、全車引退は時間の問題だろう。
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