欧州国際急行「TEE」、環境対策で驚きの復活構想 長距離列車の復権進む中で「21世紀版」構想浮上
夜行列車は時速160~230km(一部250km)で運行することを想定している。また、列車名については、TEEにナイトの「N」を加えて「TEEN」と呼ぼうというプランが提示されている。TEENの字面はグレタさんの功績に配慮したものだという。
EN21/22:パリ―ブリュッセル―ケルン―ベルリン
EN23/24:ブリュッセル―ケルン―ベルリン―プラハ/ワルシャワ
EN25/26:アムステルダム―ケルン―バーゼル―ミラノ―ベニス/ジェノバ
EN27/28:フランクフルト―ストラスブール/チューリッヒ―ミュールーズ―リヨン―モンペリエ―バルセロナ
EN29/30:ベルリン―ミュンヘン―インスブルック―ボローニャ―ローマ/ニース
EN31/32:パリ―ストラスブール―シュツットガルト―ミュンヘン―ウィーン―ブダペスト/ザグレブ
EN33/34:パリ―ブリュッセル/アムステルダム―ハンブルク―コペンハーゲン―(ストックホルム)
EN35/36:(ストックホルム)―コペンハーゲン―ベルリン―プラハ―ウィーン/ブダペスト
欧州は国と国とが陸路で接し、国境を跨いで走る列車も少なくない。一部の例外を除いて線路幅は同じなので、運行は簡単に実現しそうにも見えるが、現実には予約制度やチケットの販売方法、さらには技術水準の違いなど、調整が必要なポイントが少なくない。
車両もその1つだ。欧州を走る国際列車用の客車は各国間を直通できるよう、UIC(国際鉄道連合)の定めた規格を基準としてきた。客車列車の場合、各国内ではそれぞれの鉄道の機関車が牽引するため、動力方式や信号方式が違っても国際規格の客車は直通できる。一方、高速列車などの電車編成の場合は、直通先の国ごとに対応したシステムが必要となる。
夜行列車については車両をどう調達するかという問題もある。現在、欧州の夜行列車は、ドイツ鉄道(DB)グループが運行していたシティーナイトライン(CNL)を引き継いだ、オーストリア国鉄(ÖBB)運営の「ナイトジェット」が幅を利かせているが、車両は経年車が多い。「TEE2.0」を立ち上げるとなれば、寝台車の製造計画なども気になるところだ。
すでに夜行復権の動きも
環境問題とコロナ禍という大きな転機をもって、こうした鉄道復権の動きが前面に出てきたわけだが、「TEE2.0」が立ち上がるとしても時間はまだかかる。それまでの動きとしては、北欧(スウェーデン、デンマーク)とドイツ、オランダ、ベルギーを結ぶ夜行列車の開設計画があり、これが目玉となるだろう。
このほか、オーストリアをハブとした「ナイトジェット」の成功を受け、スイスが新たな夜行列車網開設の具体的なプランを打ち出してきた。スイス国鉄(SBB)運営による夜行列車は2009年に打ち切られたが、これを2021年末のダイヤ改正にあわせて再開。当面は、チューリッヒをハブに2路線が設けられる予定で、最終的には10路線まで広げるという。
1960〜70年代に一世を風靡したTEE。21世紀のグレードアップバージョンはコロナ禍後の欧州のヒトの流れを変える大きなきっかけとなるだろうか。
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