リモートで「感じがいい人とそうでない人」の差 相手への印象を劇的に変えるアナウンサーの技

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いざ、カメラの前で話さなくてはならなくなったとしたら、何に気をつけたらいいでしょうか?

それは、「可能な限り、自分が慣れている環境と同じにする」ということです。新人アナウンサーの頃、ラジオでの1人喋りの番組をしていたときは、マイクの下に、ぬいぐるみを置き、それに向かって話すようにしていました。

カメラやマイクだけしかなくても、届ける相手を意識できるような環境につくり変える、ということです。これは、子どもの写真撮影でも同じですよね。よくカメラの近くにぬいぐるみを置いて、撮影をします。

では、同じ環境にできないときは、どうしたらいいのでしょうか?私は、テレビのニュース番組のときに、祖母が私の番組を見るために、いつも実家でテレビの前に座っていてくれたので、その祖母に向かって、伝えることを意識していました。

自分が話している相手は、カメラのレンズなのですが、その向こうの「誰」に伝えているのか、を考えることで、自分の話し方が変化し、リラックスしてくるものです。その内容を「誰に一番に伝えたいか」を考え、その相手を思い浮かべてください。

嫌でも自分のプレゼン姿を「撮って見る」

また、自分のカメラの前での話し方やプレゼンの話し方をよくしていくには、どうしたらいいでしょうか?

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家族や一緒に働いているメンバーが、自分のプレゼンがよりよくなるように、なんでも遠慮なく言ってくれる関係ならば、その人たちのフィードバックをつねに求めることがプレゼン能力の向上につながります。

しかし、そのような関係性を築けている人がいない場合は、どうしたらいいでしょうか?やはり、自分の、カメラの前やオンラインでの話し方を録画し、それを自分で見て、自分にどんどん突っ込みを入れていくと、一番上達が速くなります。研修のトレーニングでは、自分の講師姿を録画し、それを見て、何を改善したら、もっと良くなるのかを考え、自分で自分に突っ込みを入れていきます。

私は、自分の講師姿の録画を見るのが怖くて、半年間見られなかった経験があります。半年間も見なかったら、半年分の成長が止まってしまいますね。撮ったらすぐ見る。改善点を書き出し、それを意識して、もう一度撮る、というのが一番成長を加速させます。

私は、だいたい15分くらいのオンラインセミナーやプレゼンで、40個以上の改善点を発見します。それを1つひとつ修正していくことで、どんどん良くなっていくはずです。

白崎 あゆみ エグゼクティブコーチ、フリーアナウンサー

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しらさき あゆみ / Ayumi Shirasaki

13歳からテレビの仕事を始め、25年以上アナウンサー業に従事。上智大学外国語学部フランス語学科を卒業後、アビームコンサルティング株式会社を経て、MRO北陸放送のアナウンサーとして、10年勤務。独立後は、トラストコーチングスクールのTCS認定プロフェッショナルコーチの資格を取得し、オンライン研修やオンラインでの講座提供を、日本国内のみならず、海外在住の人に向けても、多数実施している。

 
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