東海道新幹線、毎月変わる「柔軟ダイヤ」の秘密 毎時12本運転できる「のぞみ」、実は大半が臨時
今年の東海道新幹線の運行は、コロナ禍によって何度も大きく変わった。緊急事態宣言発令後の4月24日からはすべての臨時列車の運転を取りやめた。この際の1日当たりの本数は平日が314本、土曜日が303本、休日が296本。前年の実績は1日当たり378本といい、臨時列車が数多く運転されていることがここからもわかる。
さらに5月11日からは定期列車も一部を削減したが、6月からは再び定期列車は全便運転となった。7月以降はひと月ごとに需要を想定し、計画が決まった段階で案内しているという。現在発表されている今後の運転計画によると、11月の運行本数は前年同期比92%の1万871本だ。
一方、12月25日から翌年1月5日までの年末年始期間は、前年同期比103%の5042本を運行する。今春の「のぞみ12本ダイヤ」実現で、利用が集中する時間帯により多くの列車を走らせられるようになったためだ。
積み重ねが生む柔軟なダイヤ
「のぞみ12本ダイヤ」はさまざまな改良の積み重ねによって実現した。N700・N700Aの投入によって700系を置き換え、車両を東海道新幹線内で最高時速285km走行が可能なタイプに統一。電力設備や運行管理システムの改良を行ったほか、東京駅の設備改良や清掃の時間短縮により、折り返しにかかる時間を短くした。
このような工夫が、定期列車だけなら1時間当たり4本の「のぞみ」を12本まで増やせる、自由自在な東海道新幹線のダイヤのベースとなっている。柔軟な運行は「これまでのノウハウが蓄積されていることが大きい」とのことだ。
そして重要なのが、要員確保とそのための人材育成である。本数を多く走らせるためには、乗務員がいなくてはならない。その乗務員の育成を怠らないことが、「のぞみ」の本数を多くすることの秘訣である。新卒採用を景気の動向に左右されることなく中長期的な視点から行い、「安全安心の観点を備えた従業員を育てていきたい」(JR東海)と考えているという。
ダイヤをきっちり決めているだけではなく、そのダイヤに見合うだけの設備や人を準備している。コロナ禍での利用者数増減に柔軟に対応し、ソーシャルディスタンスの確保が求められる中でも余裕を持った本数を確保できる東海道新幹線の自由自在なダイヤのベースには、それを可能にするだけのバックボーンを普段から用意しているという背景があるのだ。
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