東海道新幹線、毎月変わる「柔軟ダイヤ」の秘密 毎時12本運転できる「のぞみ」、実は大半が臨時
しかし、定期列車の「のぞみ」の本数を多くすると、時間帯や曜日によっては輸送力が過剰になる。そこでJR東海は、余裕を持たせたダイヤを作り、臨時列車として「のぞみ」を頻発させるようにしている。少数の定期列車に多数の臨時列車を組み合わせることによって、東海道新幹線の利便性が成り立っているのだ。
現在のダイヤでは、東京発7時台から20時台にかけて、1時間当たり最大12本の「のぞみ」を設定できるように列車ダイヤのパターンが決められている。
ベースとなる定期列車は4~6本。基本的には、日中の東京発「のぞみ」の定期列車は00分発新大阪行き、09分発博多行き、30分発博多行き、51分発広島行きの4本だ。これに加えて12分発、18分発、21分発、24分発、39分発、42分発、48分発、54分発(21分・42分発は一部時間帯は定期列車として運転)の臨時「のぞみ」が設定できるようになっている。
臨時列車は、乗客の見込み数に応じてこのダイヤに合わせて運行する。例えば、休前日の夕方には定期列車に加え3~7本の臨時列車を加えることになる。つまり、あらかじめダイヤはきっちり決めていて、需要予測に合わせて必要な分を走らせているわけだ。
【2020年10月27日15時00分 追記】記事初出時、一部時刻と列車本数の記述に誤りがありましたので、上記のように修正しました。
お盆やイベント時などに臨時を設定
臨時列車は、「利用のボリュームが大きい」ということで、「のぞみ」が中心となっている。しかし、「ひかり」「こだま」の臨時列車も当然ながら運転可能だ。
たとえば、2019年のラグビーワールドカップの静岡県開催試合の際には、掛川から東京まで「こだま」の臨時列車を走らせた。このような大規模なイベントをはじめ、東京ドームなどで開かれるコンサートなどの大型イベントは開催予定をチェックして、それらの需要予測に合わせて臨時列車の設定を計画するという。
また、運行日直前でも臨時列車が設定されることがある。本数を減らしていた今年の5~7月は、時折「列車の追加運転のお知らせ」が発表された。予約状況を踏まえて増発したためで、柔軟な対応が可能であることがわかる。
この8月は10日間で「のぞみ12本ダイヤ」を52回行い、ソーシャルディスタンスが求められる中で帰省シーズンへの対応をこなすことができた。今年の夏はコロナ禍により、お盆期間の利用者数は前年同期比24%の105万7000人と大幅に少なかったものの、運行本数は前年同期比103%に増やした。「混雑時でも座席を供給することができるようにするためです」という。
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