JR原宿駅建て替え、国立駅再築と何が違うのか 西洋風建物の旧駅舎外観は「可能な限り再現」

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この間、JR東日本からは原宿駅改良についてのアナウンスはなかったが、2019年11月になって、「原宿駅新駅舎・新ホームの供用開始のお知らせと年末年始の混雑緩和に向けたご協力のお願い」としてニュースリリースが出された。

原宿駅に新設された明治神宮方面の出入口(筆者撮影)

ここで初めて旧駅舎についての言及があった。旧駅舎は解体し、防火地域の基準に適した材料を用い、意匠を再現して建て替える予定と記されていた。しかし他の記述より小さな字で控えめに書かれ、予想図などもなかった。旧駅舎の将来を気にしていた人には不安に感じる内容だったかもしれない。

渋谷区議会では同月の定例会で、シブヤを笑顔にする会の橋本侑樹区議が、JR東日本が示した建て替えの具体的な内容、費用や維持管理の負担区分、活用方法を問うた。

渋谷区とJR東日本の協議

区長の回答は、今年度も地元の方々とJR東日本および区が意見交換を行い、自身もJR東日本の副社長と会って旧駅舎の保存を強く求めた姿勢をJR東日本も理解し、JR東日本が主体となって現駅舎を再築、維持管理していくことについて合意に至ったと説明した。

区長は具体的な再築方法についても言及。JR東日本から、原宿駅のシンボルとなっている尖塔や屋根、外壁など、大正時代創建時の意匠が残っている現駅舎の約150平方メートル部分について解体時の傷み具合などを確認のうえ、現在の法令に適合する範囲で再使用できる部材については使い、再築された駅舎の具体的な活用方法についてはJR東日本で検討していると説明した。

保存・復原された東京駅丸の内駅舎(筆者撮影)

これが現時点で、渋谷区議会において原宿駅舎が議論された最後の場だった。そして今年8月のJR東日本のニュースリリースに至る。ここでは旧原宿駅舎について、地域に親しまれてきた西洋風建物の外観を再現して建て替えられると公表され、イメージ図も公開された。

現役時代の旧駅舎の写真と比べると、改築された北側部分を除きほぼ同じであり、区議会での区長の説明のとおりだった。JR東日本が赤レンガの東京駅舎に対して用いた復原という言葉は、現存する文化財を修復により改造前の姿に戻すという表現でありふさわしくないが、再使用できる部材は使っていくという方針が実現されるなら、国立市が旧国立駅舎に対して使っている再築という言葉に当てはまるのではないかと思っている。

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