F1参戦終了で「N-BOX」のEV化が考えられる訳 F1開発メンバーの行方と組織改編で目指すもの

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その後、中国でも全国各地で行われたEV政策に対応して、フィットEVを投入。直近では、中国NEV(新エネルギー車)政策への対応として、北京モーターショー2020で中国市場向けEV「Honda SUV e:concept」を公開している。

e:conseptは「Honda ブランド EV の将来の量産⽅向性を示すコンセプトモデル」だと発表される(写真:ホンダ)

また、北米市場ではGM(ゼネラルモーターズ)と2024年を目途に、GMが開発するアルティウムバッテリー搭載のEVプラットフォームを共有化することを明らかにしている。これも、ZEV法を含むアメリカでの環境規制を念頭に置いた動きだ。

このように、ホンダのEV量産開発は現時点で「規制ありき」の意識が最優先で、日本の軽自動車規定が近い将来、例えば超小型モビリティ規定との融合など、軽自動車がEV化されることが確定していない状況では、ホンダのものづくりセンターとして次期N-BOXにEVバージョンを含める議論は生まれないだろう。

モデルライフで見ると、初代N-BOX(2011年12月~2017年8月)が約6年だったので、現行となる2代目(2017年9月~)の次、3代目は2023年ごろの登場が予想される。登場まですでに3年を切っている今の段階で、EV化の選択は難しい。

N-BOXのEV化はその次の世代か?

ただしその先、4代目が登場する2020年代後半には、N-BOX EVの可能性は考えられる。その頃には、ホンダがいう「eMaaS(イーマース)」構想として、2輪、4輪、パワープロダクツなど、ホンダ各分野の製品とエネルギーマネージメントにおいて、しっかりと事業化を進めていなければならない。

福井県永平寺町エボルーション大使の活動として、筆者所有のN-BOXにホンダ製電動くるまいすを搭載し、検証を行っている様子(筆者撮影)

その影響を、庶民にとっての身近なモビリティであるNシリーズに直結させることが、「規制ありき」ではない、ホンダが独自性を強調できる電動化戦略になる。

そこには、先に紹介したようにホンダF1の技術と人材が先進パワーユニット・エネルギー研究所に融合した成果が、基礎開発領域を経て、ホンダ本社ものづくりセンターの量産計画へと反映されていなければならない。

eMaaSにおいて、最大のカギとなるのは、メーカーが製造し販売店が販売するという旧来の“台当たり利益”というビジネスモデルを脱却する、複合的サービス事業の確立だ。実現のためには、現行の販売網の大幅な刷新など、ホンダとしてかなりの“力技”が必要となる。F1参戦終了という大きな決断は、さらなる“聖域なき大改革”を意味しているのだ。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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