F1参戦終了で「N-BOX」のEV化が考えられる訳 F1開発メンバーの行方と組織改編で目指すもの

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした図式の中で、F1を担当している「HRD (ホンダR&D)Sakura」については、2021年のF1シーズン終了後、F1開発に従事してきた人材を中心に「先進パワーユニット・エネルギー研究所」と融合する。実は、このHRD SakuraとN-BOXとは意外な関係がある。

HRD Sakura 浅木センター長との「ホンダF1 2020シーズンプレビュー」の様子(筆者撮影)

HRD Sakuraセンター長の浅木泰昭氏は、1981年ホンダ入社。当時の国内最高峰レースF2向けエンジンの開発を皮切りに、1980年代のマクラーレンホンダ等によるホンダF1黄金期を支えた。その後、北米向けV6エンジン開発、初代「オデッセイ」開発などを経て、ホンダ「Nシリーズ」を立ち上げ、N-BOXの商品開発を担った。

2020年6月23日にオンラインで行われた報道陣向け意見交換会「ホンダF1 2020シーズンプレビュー」の中で、「F1も軽自動車も規定(レギュレーション)が厳しい中で他社との差別化が必要であり、その中で勝ち抜いていく点では、F1も軽も同じだ」と、浅木氏は言い切った。

今思えば、その時すでに2021年シーズン末でのF1参戦終了は確定していた。そのため、浅木氏のプレゼンの前半は、自身のホンダ人生を詳しく振り返りながら少し感傷的になった場面もあった。今後は、浅木氏の育てたF1エンジン開発者たちが、未来のホンダ電動化戦略に従事していくことになる。

ホンダeはかなり急いだ対応

他方、ものづくりセンターでの量産計画としてのEVでは、「ホンダe」が登場した。この技術が近い将来、N-BOXなど次世代のNシリーズに横展開する可能性はあるだろうか。ホンダ各方面への取材や意見交換をする中で、その可能性は低いと筆者はみる。

第1の理由は、「ホンダe」は欧州のCO2規制強化に対応するため、一般的なホンダ車の量産開発としては「規制対応のため、かなり短期間」(ホンダ関係者)で開発された点がある。

「ホンダe」に関する技術展示。横浜での報道陣向け公道試乗会にて(筆者撮影)

これまでも、ホンダはアメリカ・カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制法に対応するため、「フィットEV」を量産したことがある。ロサンゼルスモーターショー2010でのお披露目の際、当時の伊東孝紳社長は、記者団に対して「EVはまだインセンティブ(税制優遇)に頼っている段階。あくまでも(フィットEVは)ZEVありきの限定的なクルマだ」と答えていた。

次ページ「規制ありき」で軽EVは生まれない
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事