JR西「銀河」学生の"痛烈な一言"が開発の引き金 古い117系のスタイルを維持しつつも大変身
各車とも京都方の乗降ドアが塞がれて客室スペースに充てられているので、元車両の骨組みの関係から窓のレイアウトが一様でないが、一方でスマートさを醸すために雨樋は屋根の肩へと持ち上げられて、見えなくなった。
ゆったりと旅をする列車として、JR西日本にとっての最大マーケットである京阪神から少し距離があるエリア、山陰や山口・下関方面が考えられ、まずは2018年のデスティネーションキャンペーン(DC)で関係が築かれ、観光素材も整えられた山陰方面で幕を開ける。次いで2020年秋は広島せとうちDCが展開されることから、山陽方面への運転となった。夜行運転を前提にしたような名前や設備内容だが、山陽方面では観光拠点が倉敷から尾道、広島、岩国、山口と幅広くつながっているため、昼間に運転する。
往年を思い出させる楽しい仕掛けのかずかず
デザインについては、ブルネル賞に輝いた土佐くろしお鉄道中村駅のリノベーションをはじめ、これまでにえちごトキめき鉄道「雪月花」や一般車両のデザインを手掛けてきた建築家・デザイナー、ICHIBANSEN/nextstationsの川西康之氏が受け持った。
特急のシンボルとして頭にライトを追加する一方、タイフォンカバーや尾灯を整理するなどの手を加えながら117系の基本的造形を活かしてヘッドマークを掲げ、いかにも夜行を彷彿とさせる塗装などの要点は、車内とともに高い前評判を呼んでいた。
フリースペースごとに付けた名前は4号車の「遊星」は新規だが、3号車は「明星」、6号車は「彗星」と、忘れられない列車愛称であり、それぞれのシンボルマークをヘッドマークのデザインに仕立てたことや、4号車「遊星」の壁仕切りに往年の100系新幹線食堂車よろしく精緻な車両イラストを描いている。
加えて今般、新型コロナのために設けた透明アクリル仕切りに、「距離」「マスク」の文字までヘッドマーク状の絵柄にして描き込んでおり、その鉄道に対するオマージュが大いに人々の目を楽しませていた。
その川西氏に、「銀河」に込めたポイントを聞いた。
そもそもJR西日本から伝えられた、「銀河」の構想の発端は、クルーズトレイン「瑞風」あってのこと。「豪華列車の客しか相手にしないのか」といった声に、リーズナブルに鉄道旅を楽しめるサービスも忘れていないと伝える必要があったからだ。
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