半導体が世界にとてつもない影響を及ぼすワケ

コロナ禍でも大型M&A連発、時価総額も急騰

もっとも株価は将来期待される収益を織り込んで形成されていくが、半導体企業は業績拡大のペースをはるかに超える株価上昇になっており、エヌビディアの株価収益率(PER)は実に100倍を大きく超える水準だ。

株価上昇をテコにM&A(企業の合併・買収)でもケタ違いのマネーが動いている。9月にはソフトバンクグループが英半導体設計会社アームをエヌビディアに最大4.2兆円で売却すると発表した。アームは年間売上高が2000億円程度の会社だが、ソフトバンクはアームを買収してわずか約4年で1兆円近くを上乗せできた。

続く10月にはCPU(中央演算処理装置)大手であるアメリカのAMDが、同じくアメリカのザイリンクスを約3兆円で買収する方向で交渉が進んでいると報じられた。ザイリンクスの年間売上高も3000億円台ほどだ。それぞれ今後の成長企業であることを考慮しても、バブルに近い様相といえる。

キオクシアは新規上場が延期に

一方、市場から思うような評価を得られない企業もある。東芝の半導体メモリー部門を母体とするキオクシアホールディングスは10月に今年国内最大の新規上場を目指していたが、投資家からの評価が思わしくなく、延期を余儀なくされた。半導体は多額の研究開発と設備投資が欠かせず、資金を集められないということは競争力の低下につながりかねない。

将来のキーテクノロジーである半導体は、国の命運も左右し始めている。「世界の工場」となった中国はスマートフォンなど電子機器の生産量が多くても、そこに搭載される半導体の生産量は足りず、米国や台湾からの輸入頼みとなって貿易収支を圧迫している。

そこで産業政策「中国製造2025」の重要項目に掲げたのが半導体内製化だ。通信機器大手ファーウェイのハイシリコンがすでに最先端半導体の設計能力を有し、残る課題は生産能力の向上だ。一方、米国は中国への規制を強めており、11月の大統領選を前に半導体をめぐる覇権争いは激しい。

『週刊東洋経済』10月24日号(10月19発売)の特集は「半導体狂騒曲」です。
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