「読書好きの子」の親が共通でやっていること 高校生では2人に1人が本を読んでいない

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スポーツ選手であればそのスポーツが大好きでのめりこむという状態はイメージがつきやすいかもしれません。あるいは、子どもがテレビゲームにはまって没頭するのも、ある意味似た状態です。

同じように、コトバや物語に対しての好奇心を高め、「のめりこむ読書」を子どもに体験させるのに、ハードルが低く効果的なのはマンガにはまることです。マンガはわかりやすく楽しいといった娯楽性が高いだけでなく、自らが絵を見て、コトバを読んで、ページを開くという能動的な行為が求められます。自分のペースで進め、自分の意思で時間を決められます。これらの条件が、のめりこみ状態をつくりだすのに最適なのです。

「学習マンガ」を読ませる

私は子どもの頃、ゲームを買ってもらえませんでした。ですが、学習マンガであればさまざまなジャンルのものが家にあり、多数の本を読破しました。私が高校生で本好きになり、大学生で本の虫になり、そして社会人で本を自ら書く著作家になるきっかけにもなっていきました。

学習マンガに影響を受けてきたのは私だけではありません。雑誌『プレジデントファミリー』(2012年12月号)の特集「東大生184人親の顔」で、「学習マンガを読んでいた」の質問に対して、同世代の若者が23.3% なのに対して、東大生は46.7% もの割合で読んでいたと回答しています。実に東大生の約半数が幼少期に学習マンガを読み、通常よりも倍近い値になっているのです。

正直な話をすれば、小学生から中学生にかけて、私は本を読むのはまだ好きでも得意でもありませんでした。でも、学習マンガやマンガは大好きでした。好奇心という観点からいえば、それでもだいじょうぶです。マンガにはまることで、「のめりこみ読書」の体験を積み重ねていたからです。

自力で学び続ける人が持っているもの

親の立場からすれば、不透明な未来に対して不安を覚え、どんなにお金をかけてでも子どもたちにあれもこれもとさせておきたくなるかもしれません。

子どもの歩んでいく道を親が先回りして、しっかりと安全な道を整えて、高いところまで自動でたどり着くエスカレーターがないか探し回りたくなるかもしれません。しかし残念ながら、未来を完璧に予想することはできません。どんなに先回りして準備しても、思い通りにならないこともあるでしょう。

しかし、未来がどうなろうとも、社会がどう変わろうとも、確実にいえることがあります。それは、自力で学び続けることができる人は、途中でさまざまな困難や失敗、紆余曲折があったとしても、必ず成功にたどり着くことができるということです。

どんなことでも、どんな環境でも学び続ける力を持ち、自らの内側に学びのエンジンを備えた人は、変化に対応しながら、少しずつでも毎日、毎年成長し続け、やがて望んでいることを実現します。自力で学び続けるエンジンを持つことこそ、この記事でもお伝えしてきたあくなき「好奇心」を持つことです。

好奇心や学びのエンジンは、遺伝的に備わっているものだけでなく、意識して育てることができるものです。そして、激動で不透明な時代をこれから迎えるからこそ、親や教育者が最も意識して子どもに育むべきものです。

『自力でできる子になる 好奇心を伸ばす子育て』(大和書房)(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

日々子どもたちと接しながら、私自身も1人の親として子育てに悩みながら、苦労しています。思い通りにならないことも、うまくいかずに怒ってしまうこともあります。それでも子どもたちの屈託のない笑顔と純真な姿、そして好奇心のかたまりのように新しいことを吸収して成長していく姿を見ながら、そんな子どもたちにとって明るい未来を用意したいと強く思います。

そのためには、日本の子どもたちを育てる大人が、子どもたちの好奇心を思いっきり伸ばし、自力で学び続ける子に育んでいくことだと確信しています。1人でも多くの大人がそのことに気づいて、子どもたちの可能性を最大限に引き出していただければうれしい限りです。

本山 勝寛 日本財団子どもサポートチーム チームリーダー

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もとやま かつひろ / Katsuhiro Motoyama

東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース卒業、ハーバード教育大学大学院国際教育政策修士課程修了。小学校から高校まで地方の公立学校に通い、独学で東大、ハーバード大に合格。日本財団で、世界30カ国以上を訪問、教育や人権、国際協力、障害者支援、パラリンピック支援、貧困対策事業を手掛ける。5児の父親で、これまで育児休業を4回取得。ブロガーとして独自の子育て論、教育論を「BLOGOS」などで展開。
著書に『最強の独学術』(大和書房)、『16倍速勉強法』(光文社)、『一生伸び続ける人の学び方』(かんき出版)など。「まなブログ」はこちら

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