日本株の先行きで米大統領選より気になること アメリカの中期の株価見通しは上昇基調で不変

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とすれば、追加経済対策期待を織り込んでいる部分が大きいということになり、短期的には上値リスクより下値リスクの方を警戒すべきかもしれない。ただし中期的には、コロナ禍から抜け出しつつある世界の景気や企業収益の緩やかな回復を反映して、じわじわとした株価上昇基調が持続しそうだ。その基調線の周りで、短期的に株価は上下動を続けるのだろう。

気になるのは、むしろ日本の企業収益の弱さ

だが日本の株価を見通すうえで、気になるのは日本の企業収益の弱さだ。企業収益そのものは「今後悪化する」と予想しているわけではなく、むしろ「緩やかな持ち直し基調をたどる」と見込んでいる。ただ、その持ち直し度合いが、特にアメリカと比べると、弱いと感じざるをえない。

たとえば、足元では、小売や外食など、個人消費関連企業が多い2月本決算企業の3~8月期の決算発表が進みつつある。個別には、たとえば小売業でもコロナ禍での巣ごもり消費関連(衛生用品や日曜大工関連、園芸用品、総菜など)の業績は力強く、一方で百貨店などは収益回復力が弱い、といったような強弱がある。

ただ、たとえばファクトセット社の集計による東証1部上場の小売業の6~8月の四半期のEPS(1株当たり利益)前年比をみると、既発表分では35.3%減益だ。さらに実績を発表していない企業分はアナリスト予想の平均値を使って小売業全体をみると31.0%減益と、厳しい状況だ。

これは今年6月末時点でのアナリスト予想の平均値であった5.9%減益見通しを、大きく下抜けてしまっている。もちろん、前四半期(2~5月期)の同82.9%減益よりははるかに「まし」だし、次の9~11月期は昨年消費増税があった関係もあり、アナリストの予想平均値では26.7%増益が予想されている。このため、2月本決算企業の収益の持ち直し傾向が続く、という見解自体を変える必要はないと考えるが、その持ち直し度合いが遅いように思われる。

もっとも、2月本決算企業は内需系が多い。そのためこの傾向が今月下旬あたりから発表が本格化する3月本決算企業の収益状況にそのまま当てはまるわけではない。それでも、特にアメリカと比べると、企業収益の先行きに日米の差を感じざるをえない。

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