テレビが遂に気づいた「視聴率より大切なこと」

「テレビ離れ」にお笑いと生放送で逆襲かける

話を視聴ターゲットに戻すと、各局が狙いを定める年齢層が「お笑い番組を好き」であるにもかかわらず、「見たいのに番組がない」「YouTubeなら見られる」という状態が続き、「テレビ離れ」の一因となっていました。

また、数分間の短い芸を見せるネタ番組は、広告効果の高い若年層にとってネット動画と同様に「気軽に見られる」タイプのコンテンツ。ツイッターのトレンドランキングや検索サイトのランキング、放送後の「TVer」再生数などもよく、社内外で評価の対象になりはじめていることもネタ番組が増える理由となっています。

さらに、コロナ禍による重苦しいムードや精神的なストレスがお笑い番組へのニーズを加速しているのは間違いないでしょう。もともとテレビ局で働く多くの人々が少なからず「お笑い番組に関わりたい」という思いを抱えていて、実際に何人かのテレビマンから「コロナ禍でその思いが強くなっている」という話も聞きました。事実、各局のテレビマンはネタ番組を中心としたお笑い番組の企画を次々に考えて出し続けているそうです。

「明るく楽しいお笑い番組に関わりたい」という思いは、プロデューサーやディレクターだけでなく、カメラマン、音声、美術、広報宣伝、営業、スタイリスト、ヘアメイク、芸能事務所のマネージャーなど、社内外のスタッフなども同じ。お笑い番組が増えるほど各番組の現場は盛り上がり、引いてはテレビ局全体が盛り上がり、さらにはテレビ業界全体が盛り上がる可能性を秘めているのです。

ネットに対抗するための生放送

次に、このところ生放送が増えている理由は、やはりネットコンテンツに対抗するためでしょう。

テレビ番組は、「見たいときに、見たい場所で、見たいものを見られる」というユーザビリティではネットコンテンツに完敗。広告収入のためにリアルタイムで見てほしいテレビ局にとっては、TVerですら「ユーザビリティで勝てない」ライバルの1つなのです。

そんな苦しさを抱える各局が番組をリアルタイムで見てもらうために目をつけたのが、生放送のライブ感。「何が起きるかわからない」というドキドキワクワク、「誰かとネット上でつながって楽しむ」という共有体験で視聴者を引きつけようとしているのです。

とりわけ前述した“コアターゲット”“キー特性”“ファミリーコア”の年齢層はネットの使用率が高く、インスタライブなどの生配信を楽しむ人が増えました。実際、各局では「21時以降はテレビの視聴率が落ちやすく、ネットのPVが上がっている」ことが指摘されているなど、ネットコンテンツに流れがちな人をテレビに引きつける対策が求められているのです。

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