テレビが遂に気づいた「視聴率より大切なこと」 「テレビ離れ」にお笑いと生放送で逆襲かける
全編と一部の違いこそありますが、ゴールデンから深夜までまんべんなく生放送されていることに驚かされます。もともと生放送は、「撮り直しができないリスクがある」だけでなく、「収録以上に万全の準備をしておかなければならない」など現場のスタッフにかかる負担が大きいもの。さらに「新型コロナウイルスの感染予防を徹底させなければいけない」「働き方改革が叫ばれている」などの難しさがある中、あえて生放送に挑んでいるのです。
フジの新番組に見るターゲットの変更
では、なぜ各局はネタ番組と生放送を増やしているのでしょうか。
真っ先に挙げなければいけないのは、視聴ターゲットの見直し。今春にビデオリサーチによる視聴率調査がリニューアルされ、年齢層や性別などの詳細に渡るデータが全国規模で測定できるようになりました。
13~49歳を日本テレビは“コアターゲット”、フジテレビは“キー特性”と呼び、TBSは13~59歳を“ファミリーコア”と呼んで、スポンサーのニーズが高いこの年齢層に向けた番組作りを進めているのです。
つまり、「日ごろネット記事などで見かける世帯視聴率は、高齢層の影響力が大きいことから重視されていない」ということ。たとえば、前述した「千鳥のクセがすごいネタGP」は、世帯視聴率6.4%、8.2%と土曜夜にしては厳しい結果に終わりましたが、“キー特性”の反応がよかったため、すぐにレギュラー化が決定しました。
同様に10月15日に第2シリーズがスタートするドラマ「ルパンの娘」も、昨年放送された第1シリーズの世帯視聴率は全話平均7.2%に終わりましたが、同様の理由で続編放送にゴーサインが出たのです。
どちらもこれまでならありえないことだっただけに、フジテレビの変化を感じるとともに、それを伝える側のネットメディアはミスリードを避けるために、今後は世帯視聴率をベースにした記事を抑えていったほうが良さそうです。視聴率に関する報道が適正化されたら視聴者は、「好きな番組の低視聴率報道にイライラさせられる」というケースが減るのではないでしょうか。
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