自分に合った運動に巡り合っていない可能性もある。今回、多くの人に取材しましたが、運動嫌いだったのに60代で始めたウォーキングが楽しくて仕方ないという人や、中年になってボートこぎにはまったという女性もいました。
体を動かすことにまったく喜びを感じないという人はいないと思います。運動とはいえなくても、自然を感じられる場所で散歩するのが好き、音楽がかかると体が自然と動くという人は多いのでは。
一定時間費やすと「楽しい」と感じるように
──やっと始めても三日坊主ということも。
脳に特定の体の動きを「好き」だと認識させるには、平均で6週間ほど続ける必要があります。最初は続けるのがつらいランニングも、しばらくすると多くのランナーが「楽しい」と感じる。ランニングに一定の時間を投資したことを脳が認識し、ランニング経験に対する認識が変わるからです。
──続けるにはコミットメント(意欲)が必要ですか。
「人生の目標」的でなくていいが、より活力を得たい、不安に対処する力をつけたいなど、「その運動を通じて何を得たいのか」という一定のゴールは必要でしょう。
運動によってどんな感情を得たいかも重要。私は先頃、ボディーコンバットというボクシングなどさまざまな格闘技を組み合わせた運動を教える資格を取りました。今の自分は心を落ち着けるより、強くパワフルであるという気分を得たいのだと思います。
ランニングなら「5キロメートル走れるようになる」、ヨガなら「頭で立てるようになる」など、マイルストーンになるような目標もあったほうがいい。「1日20分、週3回運動をする」のはゴールではなく、ゴールへたどり着くための戦略にすぎません。
──運動でどんな「Joy(喜び)」を感じるかが継続のカギとも。
喜びの意味は1つではないし、幸福感や恍惚(こうこつ)感、興奮を覚える必要もない。力強さや我慢強さ、集中力の向上、精神的な落ち着きなど喜びの感じ方もいろいろあります。
──ダンスなど人と一緒の動きをすれば連帯感が生まれるということですが、これは企業などで活用できそうですね。
実際、世界各国でさまざまな例があります。私も大企業の研修に招かれてフラッシュモブなどのダンスを教えることがあるけれど、重要なのは「やらされる」のではなく、自ら選択して参加すること。そういう参加者が集まれば、連帯感はより強まります。
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