TikTok「アメリカで2.5万人雇用増」が至難な訳 売上高1000億円程度を数年で19倍にできる?

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しかしそれ以外の分野で、より多くの従業員を抱えることの妥当性は訴えにくい。なぜならティックトックを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)側が引き続き、ユーザーへのおすすめの動画を選ぶアルゴリズムを保持、その上で新会社にライセンスを供与するのであれば、新会社には人工知能(AI)関連事業に従事する大規模なチームを新たに編成する必要はなくなるからだ。

コンサルティング会社ザ・センター・フォー・イノベーティング・ザ・フューチャーの地政学フューチャリスト、アビシュール・プラカシュ氏は、こうしたAI関連チームこそがフェイスブックやツイッターの従業員の大部分を占めていると指摘した。

一方、プラカシュ氏は、オラクルとウォルマートが社内にティックトック向けサービス部門を設ければ、新会社の雇用にカウントされてもおかしくないとも述べた。

収益増には多くの足かせ

新会社の雇用目標がいかに「高望み」かは、他のソーシャルメディア企業が生み出している売上高と比較すればもっとよく分かる。

例えばツイッターは従業員4800人で、昨年は1人当たりの年間売上高が72万ドル、全体では35億ドルだった。スナップは昨年、3195人が各自約53万7000ドルを稼ぎ出し、総売上高は17億ドルとなった。

バイトダンスは現在、米国で1000人余りを雇用している。ほとんどはカリフォルニア州で、テキサス州などにも拠点がある。

もしティックトックの経営効率がツイッターやスナップ並みであれば、新会社に既存の1000人と2万5000人が合流した場合、想定される年間売上高の規模は140億-190億ドルだ。

ところがプラカシュ氏によると、ティックトックには今や多くの「足かせ」があり、実際には売上高の想定レンジの下限でさえ達成は困難。かつて最大の市場だったインドでダウンロードが禁止されているのがその代表例で「(売上高を)14倍にするのはより時間がかかり、ずっと苦労するだろう」という。

(Sheila Dang記者)

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