「アイドルマスター」誕生15年で見えた新境地

ファンを熱狂させる次元を超えたMR技術の進化

MRライブの企画を手がけるのが、バンダイナムコエンターテインメントの勝股春樹プロデューサーだ。同氏は、「この10年余りでゲームの技術も大きく進化した。デジタルなアイドルをできるだけリアルに見せられるように、試行錯誤しながら実現に至った」と振り返る。照明をどの角度から当てるのが最適か、アイドルに合わせて踊るバックダンサーの1つひとつの動きなど細かいところまでこだわって作り上げたという。

MRライブでの如月千早(きさらぎちはや)の様子 (写真:バンダイナムコエンターテインメント  ©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. )

MRライブの肝となるのが、リアルタイム・モーションキャプチャ技術の活用だ。グループ内のゲーム開発部門であるバンダイナムコスタジオが開発した「バナキャスト」と呼ばれるサービスを使うことによって、生身の人間に専用のセンサーをつけて取得した体の動きを、リアルタイムでCGキャラクターに反映させることが可能に。ステージ上のアイドルは、まるでその場に存在するかのような動きをするようになる。さらに、観客からの声援に、アイドルがタイムラグを感じさせずに答えるパフォーマンスも可能になった。

こうした技術は、もとはグループが展開するゲームの技術開発から生まれたものだ。勝股氏は、「格闘ゲームをはじめ、少しの遅延があるだけでゲームの面白さが左右されてしまうようなコンテンツを作り続けてきた当社の技術力の結晶だ」と自信を見せる。

アイドルのライブ配信サービス

もっとも足元では、新型コロナウイルスの影響で、アイマスのイベントも中止に追い込まれている。そこで今夏に新たに乗り出したのが、アイドルのライブ配信サービスだった。

2020年7月11日に行われたのは、アイドルの1人である「星井美希」の生配信だ。配信が始まると、765プロダクションの事務所にいる星井美希が映し出される。視聴者と好きなおにぎりの具についてフリートークをしたのち、質問にリアルタイムで答えた。

アイドルマスターのシリーズ初の生配信は星井美希のSHOWROOMでの配信だった (写真:バンダイナムコエンターテインメント)

決めポーズを取って、視聴者がスクリーンショットを撮れる時間を設けるなど、本物のアイドルのライブ配信さながらだ。自身の楽曲を披露するライブコーナーもあった。この星井美希の生配信でも、使われているのはMRライブと同じリアルタイム・モーションキャプチャ技術だ。

この配信は、2月末に開催予定だった主演公演の代替開催という位置づけで、配信時間は30分ばかりだったにもかかわらず、配信の視聴者数は9万人超までふくらんだ。リアルタイムでアイドルが動いてしゃべり、視聴者と交流する様子に驚きや感動の声があがり、ツイッターを中心としたSNSでも大きな話題となった。

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